山奥にいながら、海と歴史を感じる。秩父のパワースポット「鷲窟山観音院」

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2020/08/08

「聖浄の滝」を携える本堂へ

image by:梅原慎治
ひさしのように本堂の上にせり出す岩壁。image by:梅原慎治

不思議な謎を秘めた仁王尊像が守る門をくぐり、さらに296段の石段を登り切った山の中腹に、鷲窟山観音院の本堂が存在します。ここには奈良時代の僧・行基が作ったとされる「聖観世音菩薩像」が、ご本尊として安置されています。

落差60mの「聖浄の滝」image by:梅原慎治
滝つぼには鯉が泳いでいました。image by:梅原慎治

ひさしのようにせり出した岩の下に建てられた本堂は、その左手に落差60mの「聖浄の滝」を携え、秘境感を漂わせる作りです。

現在の本堂は1972(昭和47年)に再建された鉄筋コンクリート造りですが、1893(明治26年)に焼失する以前は、さざえ堂式(螺旋構造の回廊を持つ建物)の観音堂が建っていたそう。

 
劣化が激しく見えにくいですが、石碑の左側に見えるのが「鷲窟摩崖仏」image by:梅原慎治

聖浄の滝の左手には、一説では弘法大師(空海)の作ではともいわれる、「鷲窟摩崖仏(しゅうくつまがいぶつ)」があります。

鷲窟摩崖仏は岩肌に浮き彫りにされた仏様が幾重にも刻まれているもので、1934(昭和9)年に県指定史跡に指定されました。

1700万年前の地層。image by:梅原慎治

ちなみに鷲窟摩崖仏が彫られている地層は約1500万年前のものだといわれていますが、本堂の右手にある東奥の院へ向かう通路には、なんと約1700万年前の地層を見ることができます。

約1700万年前、このエリアが海へと入り始めたときに海底で積もった砂岩が、いまは地層として山深い緑のなかに残っていると思うと、感慨深いものがありますね。


本堂と岩壁、聖浄の滝の全貌を見上げると、圧巻の迫力です。image by:梅原慎治

今回はガケ崩れの影響により西奥の院や滝の上石仏群などを見に行くことができず、本堂周辺だけとなってしまいましたが、本堂の岩壁だけでも、街中の寺院では見ることができない心に残る光景が広がっています。

圧倒されるような自然の岩壁と、人工物である本堂。それらが違和感のなかにある調和を醸し出しているようで、不思議なパワーを肌で感じることができました。

image by:梅原慎治

県内のお近くのかたなら、3密を回避しながらのマイクロツーリズムとして。遠方の場合は新型コロナウイルスが収束した際に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

  • 鷲窟山観音院
  • 埼玉県小鹿野町飯田観音2211
  • image by:梅原慎治
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

 

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埼玉県生まれ、都内在住のツーリングライター。主に関東近郊を走り周り、美味しい物や良い景色などを見つけて楽しんでいる。

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