なぜ秩父にライダーが集まるのか?バイク乗りの密かな聖地「小鹿神社」
埼玉県の観光やツーリングの目的地として人気の高い秩父地方。そんな秩父地方のなかでも特に、町ぐるみでライダーを歓迎してくれている場所があります。それが、埼玉県秩父郡小鹿野(おがの)町です。
小鹿野町には鉄道の駅舎がないため、いまでこそ山間の小さな町というイメージがあります。しかし平安時代中期に編纂された『和名抄』に記されている「巨香郷(こおかのごう)」が小鹿野の始まりといわれているのです。
つまり1000年以上の歴史を持っており、県内では古くから、教育、交通、産業の振興が図られてきたのです。
そんな小鹿野町は近年、町を挙げてのバイク招致を行っており、多くのライダー達のオアシスとされています。そうしたオアシスのなかでもひと際バイクが集まる“聖地”として知られるのが、通称“バイク神社”と呼ばれる「小鹿神社(おしかじんじゃ)」なのです。
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「小鹿神社」は、なぜ「バイク神社」と呼ばれるようになったのか
埼玉県秩父郡小鹿野町にある「小鹿神社」。ちょっとややこしいですが、町名は“おがの”ですが、神社は“おしか”なんです。
鹿は神の化身として日本書記にも登場することから、神聖な動物として祀る神社も多くあります。一説によるとこの地では、山で道に迷ったヤマトタケルノミコトを案内したのが鹿であるという伝説があるため、町名にも神社にも“鹿”が入っているのだとか。
自動車や自動二輪車(バイク)のお祓いなどを行っている神社やお寺は多くあるのに、なぜ小鹿神社は、バイク神社として有名になったのでしょうか。
その理由は大きく分けて2つあると考えます。1つは上でも述べたように、小鹿野町自体が町を挙げてバイク招致を行っているから。
さらに小鹿野町にはかつて、「バイクの森おがの」と呼ばれたバイクの博物館もあったのです。2021年3月には、同じく秩父地方の名物弁当として知られるバイク弁当が、この博物館跡地にプレオープンしており、増々の振興が期待されています。
そしてもう1つの理由は、ほかの社寺ではなかなか見かけないような、バイクに特化したユニークなお守りがあるという点です。
お守りは2種類あり、1つはアルファベットで記したOGANOの文字をバイクの形に描いた交通安全のお守り。そしてもう1つは、てんとう虫の刺繍の下に、防止守と描かれたお守りです。
これは、てんとう虫の“てんとう”とバイク特有の事故である“転倒”をかけ、これを防止するという願をかけたお守りなのです。どちらも、ほかに類を見ないバイクに特化した珍しいお守りですよね。