文豪は「老人になっても、旅に出たいという気持ちはなくならない」と語った
等身大の文豪。愛すべき酔っ払い
スタインベックは『チャーリーとの旅』が刊行された1962年にノーベル文学賞を受賞しました。アメリカ文学史上の偉人です。ですが、この作品から浮かび上がってくるのは、どこにでもいるようなひとりの平凡な中年男性の姿です。
例えば、他のアメリカ人作家と同じように、スタインベックもお酒が大好きでした。しかし、ジャック・ロンドンやアーネスト・ヘミングウェイのような破滅的な酒飲みというほどではなく、お酒とはまあまあ上手く付き合ったようです。
『チャーリーとの旅』も酒屋に立ち寄り、トラックに大量のお酒を積み込むところから始まります。バーボン、スコッチ、ジン、アップルジャック、そしてビールのケースを買い込み、これで大抵のシチュエーションに間に合うと安心しています。
「大きなパーティーでもあるのか」と尋ねる店の主人に、「いや、ただの旅の準備だよ」と答えています。
生まれ故郷サリナスに建っているスタインベック博物館のギフトショップに、この文豪が残した言葉をプリントしたTシャツやグラスが売っています。
“There is nothing in the world like the first taste of beer”-John Steinbeck
「ビールの最初の1口に優るものはこの世界に何もない」(筆者訳)
何となく、新橋辺りの居酒屋で生ビールのジョッキを持ち上げて笑っている姿が見えてくるようです。そうだよな、おっさん。よく分かっているじゃないか。思わずそういって、肩を叩きたくなるのは私だけでしょうか。
- image by:角谷剛
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