死者と共に暮らし、ミイラの服を着替えさせ…「トラジャ族」の大切な習俗

Array
2022/10/01

インドネシアのボルネオ島とマカッサル海峡を挟んで隣り合う、ヒトデのような形をした「スラウェシ島(セレベス島)」の山岳地帯にトラジャ族の人々が暮らしています。その民族が住む地方で伝わる習俗として、家族の遺体と一緒に暮らす文化があることをご存じでしょうか。

日本では、亡くなった人を火葬するため死者とともに暮らす文化はありません。そのトラジャ族の暮らす地方で伝わる、葬儀の習俗について紹介します。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

インドネシアの「トラジャ族」に残る習俗

image by:Toto Santiko Budi/Shutterstock.com

トラジャ族が多く暮らすトラジャ地域はスラウェシ島の中央部、山岳地帯の一部です。『ブリタニカ国際大百科事典』によれば約60万人ほどの人口があって、そのうち約45万人ほどがタナ・トラジャ県に暮らしているのだとか。

そもそも「トラジャ」とは、湾岸のまちに暮らす人たちが、山に暮らす人たちを自分たちと区別するために呼び始めたとされています。平凡社の『世界大百科事典』によれば「トラジャ」とは「山地人」「山奥の人」といった感じ。

このトラジャ族の人たちには独特の死者のおくりかたがあり、タナ・トラジャ県のなかでも、県北部の人たちに色濃く見られる風習が特徴的なのです。

image by:Muhammad Safei/Shutterstock.com

日本人のトラベルライターなどが、トラジャ族の多く暮らすタナ・トラジャ県のなかでも、県北部ではなく県の中央部、および(または)県南部の「風葬」を現地レポートしてくれています。

風葬とは、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、

<死体を埋葬せずにさらす葬法>(小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』より引用)

とあります。

タナ・トラジャ県中央部・南西部でもトラジャ族によって風葬は盛んに行われていて、集落の後背地や洞くつなどを利用して風葬されるようです。


具体的には、洞くつや鍾乳洞を利用して、岩をくりぬいて墓穴をつくるなどして、棺桶に入れた遺体を(身分の低い人によっては棺桶にも入れられず)安置します。

image by:Joanaifan/Shutterstock.com

一方で、タナ・トラジャ県の北部の人たちは、また違った埋葬の方法を伝統として持っています。

葬儀を待つ故人をホルマリンで防腐処理して自宅に置いておき、葬儀後も定期的に墓から出して、ミイラ化した先祖の遺体をブラシなどで手入れを行います。そして着替えさせる、遺体を包んだ衣を換える、あるいはさらに包み重ねる習慣があるのです。

いま読まれてます
 全国 「日本に訪れたくない」は0.5%未満。アジア5カ国の訪日旅行事情 ★ 98
 国内 【絶景】この景色が続いてほしい。水中写真家が感じた変わらない海の美しさ ★ 253
 アジア 【絶景】冬の寒さをも吹き飛ばす魚たちの温もり。水中に広がる自然のアート ★ 20
 アジア 【絶景】笑顔、感謝、優しさ。水中写真家が触れた日常に隠れた幸せな気持ち ★ 227
 海外 1日で世界一周を実現。名所をめぐる「ミニチュアテーマパーク」6選 ★ 33
エアトリインターナショナル コスパが高いLCC「ジェットスター」直行便でラクラク!ケアンズで大自然の癒やしを満喫しませんか?
死者と共に暮らし、ミイラの服を着替えさせ…「トラジャ族」の大切な習俗
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます