死者と共に暮らし、ミイラの服を着替えさせ…「トラジャ族」の大切な習俗

Array
2022/10/01

トラジャ族は「死ぬために生きる」

image by:Muhammad Safei/Shutterstock.com

そのタナ・トラジャ県北部の葬儀だと思われる映像が、NATIONAL GEOGRAPHICに公開されています。

タナ・トラジャ県北部に限らず、県中央部でも南西部でも葬儀は大変盛大です。トラジャ族に共通する文化として、平凡社『世界大百科事典』に、

<スラウェシに住むトラジャ族は濫費的といえるほどの祭りを死者のために催す>(『世界大百科事典』より引用)

と書かれるくらい、盛大な催しが開かれます。

建築家の神谷武夫さんが書いた『トラジャ族のトンコナン・ハウス』には、この葬儀についての記述もあります。

「死ぬために生きる」とまで表現されるほど、トラジャ族の人たちは盛大な催しを開くために働き、お金を貯め、足りなければ借金します。

その葬儀は観光化までされて、村の人とは関係ない海外の観光客も桟敷席で観覧できるようになっているそう。

水牛の市場。image by:/Shutterstock.com

しかし、いけにえとされる水牛を用意しなければいけないなど、葬儀の費用は大変です。

そこで、葬儀の準備が整うまで、タナ・トラジャ県北部の場合は故人をホルマリンで防腐処理してから、生きている家族と同様に家に置いて一緒に暮らします。この暫定的な期間が、死者との別れを家族に受け入れさせる時間にもなっているのだとか。

image by:Ardyanto Patandung/Shutterstock.com

その「自宅待機」ともいえる期間は、故人が生きているように家族が振る舞います。故人には食事まで用意され、喫煙者の故人の場合は、家族がタバコを吸わせてあげるのだとか。


スラウェシ島はオランダに植民地化された歴史があり、キリスト教も入ってきて、トラジャ族の人たちはほとんどがキリスト教の信者です。

しかし、長らく続いてきた土着の死生観がいまでも根付いていて、このような死者の扱いをしているのですね。

いま読まれてます
 全国 「日本に訪れたくない」は0.5%未満。アジア5カ国の訪日旅行事情 ★ 98
 国内 【絶景】この景色が続いてほしい。水中写真家が感じた変わらない海の美しさ ★ 253
 アジア 【絶景】冬の寒さをも吹き飛ばす魚たちの温もり。水中に広がる自然のアート ★ 20
 アジア 【絶景】笑顔、感謝、優しさ。水中写真家が触れた日常に隠れた幸せな気持ち ★ 227
 海外 1日で世界一周を実現。名所をめぐる「ミニチュアテーマパーク」6選 ★ 33
エアトリ 100%、ピュアです。初体験が詰まった「ニュージーランド旅」が最高な理由
死者と共に暮らし、ミイラの服を着替えさせ…「トラジャ族」の大切な習俗
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます