女王と雑談した侵入者から世紀の誤報まで。世界の宮殿・王宮で起きた珍事件

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2025/02/13

各国の宮殿王宮といえば、なかなか見学する機会もないので、謎に包まれた部分もあるのではないでしょうか。そんな不思議な雰囲気を醸し出す場所では、ちょっとしたイレギュラーな出来事が起きると、余計に驚いてしまいますよね。

日本では過去に、皇居や赤坂御所など、一般の人が立ち入りを禁止されているエリアに侵入者が現れたり、お堀で泳いで捕まった外国人がいたりしました。今回は、日本だけでなく海外の宮殿・皇居で起きた、もしくは関係した事件をご紹介します。

バッキンガム宮殿で女王と雑談した侵入者

image by:HVRIS/Shutterstock.com

最初は、イギリス王室の公式宮殿である「バッキンガム宮殿」での出来事から。

エリザベス女王(エリザベス2世)が存命中でまだ若かった40年くらい前の1982(昭和57)年の朝に、マイケル・フェイガンという当時31歳のイギリス人男性が、バッキンガム宮殿に侵入します。しかも、2カ月連続で2回も。

侵入経路はいずれも、柵を乗り越え、排水管を上り、屋根から部屋へ降りるという動きだったみたいです。

何かのテレビ番組で以前、最上階の方が1階よりも泥棒は侵入しやすい、屋根から降りられるからという話を見ましたが、あながちうそではないようですね。

バッキンガム宮殿の警備体制のずさんさは、当時世間の非難の対象になったみたいです。

結局、1回目は、宮殿内の徘徊に成功し、2回目は、女王の寝室にたどり着きます。さらに、ちょっとした会話まで交わしたそう。

侵入事件後、各紙の取材に応じたマイケル・フェイガンによると、それほど女王は恐れていなかったそうです。電話で冷静に助けを呼び、部屋に駆け付けた使用人によって難なきを得たみたいですね。


ちなみに、マイケル・フェイガンは1950(昭和25)年生まれで現在も生きています。直近のニュースでいえば、新型コロナウイルス感染症になって無事に回復したみたいですね。

王宮から宝石類を盗難した「ブルーダイヤモンド事件」

image by:Shutterstock.com

次は、王宮で働く人が起こしたトラブルです。1989年に、サウジアラビア王室の宮殿で働くタイ人の清掃員クリアンクライ・テチャモンが、当時の国王であるファハド国王の長男の宮殿から、50カラットのダイヤモンドを含む宝石類を盗み、母国に持ち帰りました。

価値も分からないまま母国で売却したため、一部の行方が分からなくなります。タイ警察は、クリアンクライ・テチャモンを逮捕。宝石類を取り戻し返還します。

しかし、サウジアラビアの側は「偽物だ」と主張し、両国が緊張関係に陥りました。

それで話は終わりません。行方不明になった王宮の宝石を探そうとサウジアラビアから調査員がタイへ派遣されると、調査員はなぜか行方不明になります。

事件を調査していたサウジアラビアの外交官も何者かに殺害されるなどして、両国の関係が著しく悪化しました。

一連の出来事を「ブルーダイヤモンド事件」と呼びます。以来、サウジアラビアは、タイにある大使館を本国に戻し、タイ人の就労ビザを大幅に制限して、タイへの渡航を国民には事実上禁止しました。

最近までその状態が続きます。緊張緩和に向けて両国の動きがこの数年であり、2022(令和4)年には、サウジアラビアをタイの首相が訪れました。

しかし、肝心の50カラットもあるブルーダイヤモンドは行方不明のまま。ちょっとした出来心が、国家同士の関係を悪化させるケースもあるのですね。

ノルウェー国王が死去と最大手通信社が誤報

image by:Shutterstock.com

テレビ以上に、新聞社の報道記事を信用してしまう人も多いはずです。現に、日本の総務省の調査によると、新聞の情報に対する信頼度が日本人は最も高いみたいです。

では、大手の新聞社や通信社が「天皇陛下が崩御」と不意に報じたら、どうでしょうか。誤報だとしても、頭から信じてしまうのではないでしょうか。

現に、ノルウェー最大手の通信社NTB(日本でいえば共同通信社のような存在)が「ハーラル5世が死去」と2017(平成29)年9月に報じたときは、国内が騒然となりました。しかし、結果としてこの報道は全くの誤報だったのです。

どうして、こうした誤報が生まれたのでしょう。ハーラル5世は1937(昭和12)年生まれで高齢です。誤報が出た当時も80歳で、不測の事態がいつ起きても対応できるようにと、崩御を伝える記事を通信社は用意していたそう。その用意した記事を間違って公開してしまったみたいです。

ちなみに、誤報から1カ月後のディナーパーティーで、当の国王は「この会場で、寿命を終えた生き物は(ディナーに並ぶ)ヘラジカだけ」的にスピーチで発言し、参列者を大いに笑わせたみたいですよ。

冒頭でも書きましたが、アンタッチャブルな存在にも見える王族・皇族の周辺で起きる事件は、衝撃度も大きい印象があります。ほかにも、珍事から大事件までいろいろな起きていますので、興味のある方は引き続き調べてみてくださいね。

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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