【京都府】大正ロマンあふれる文豪・歌人ゆかりの宿

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2022/11/11

旅の要ともいえる“宿”。豪華なホテルも素敵ですが、大正ロマンあふれる旅館に泊まってみるのもおすすめです。

さらに、今回は文豪・歌人にゆかりのある京都府内の旅館を厳選してご紹介。推理小説の巨匠・松本清張や、歌人・与謝野晶子、詩人・野口雨情などが過ごした旅館で文豪気分に浸ってみませんか?

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松本清張も愛した京都最古の温泉へ

【京丹後市】丹後の湯宿 ゑびすや

創業約90年の老舗「丹後の湯宿 ゑびすや」では、奈良時代から続く、京都最古の温泉といわれる木津温泉(きつおんせん)の湯を使っています。

この温泉は「しらさぎ温泉」とも呼ばれ、今から1250年ほど前の奈良時代に、僧侶 行基がこの温泉でシラサギが傷を癒しているのを見たという伝承が残っています。

橘の湯

現在ではゑびすやをはじめ、4軒の宿泊施設でこの温泉に入ることができます。中でもゑびすやでは自家源泉を持っており、源泉かけ流しの温泉を楽しめると人気。館内にはいくつもお風呂が用意されているので、何度も訪れたくなりますね。

また、木津温泉の伝承に由来する「行基の湯」では内湯・露天風呂ともに美しい竹林を眺めながらリラックス。四季折々の景色を眺めていると身も心も癒されます~。

そんなゑびすやには築100年を超える本館「大正館」と新館「万葉」の2棟があり、とりわけ大正館はレトロでノスタルジックな雰囲気が漂います。

ロビーは白とこげ茶色で統一された落ち着いた設えに、さりげないステンドグラスがよく映えます。ちなみに、大正館にはいたるところにステンドグラスが使われているので、ぜひ探してみてください。

大正館と新館をつなぐ渡り廊下「桜回廊」もレトロ感たっぷり!温泉に浸かって浴衣を着て、のんびり歩いていると大正時代にタイムスリップした気分になりそうですね。


松本清張『Dの複合』(新潮文庫刊)

そして、このゑびすやが登場する小説が松本清張作『Dの複合』です。

清張はこの作品を執筆するにあたり、1965年6月から約1カ月間、こちらに逗留していたのだそう。この作品は、作家・伊瀬忠隆(いせただたか)が雑誌社の依頼を受けて日本各地の伝説が残る地を巡り、紀行文を執筆するうちにある殺人事件に遭遇。次第に自らも巻き込まれるという、古代史・民族説話と現代の事件を絡めたミステリー作品です。

この中でゑびすやは「浦島館」という名前で登場し、作中では『予想したよりも部屋はそれほどひどくなかった。年代を経て黒光りのする床柱と煤けた軸の懸かった二間床がある。……』と表現されています。ちなみに「浦島館」という名前は、大正館の玄関が龍宮城に似ているところから名づけられたのだとか。

大正館 客室

清張がゑびすやで滞在していることを知っていたのは先代のご主人と女将さん、女中頭の3人だけでした。ちなみに現当主の蛭子さんは当時小学生で、清張と一緒に過ごすこともあり“眼鏡のおじさん”という認識だったのだとか。

清張は部屋で執筆することもありましたが、タクシーや国鉄の汽車で外へ出かけることも多くあり、その時には柳行李のお弁当箱をお渡ししていたのだそう。

また、旅館の周辺を散策したり、先代のご主人と川で釣りをしたりと、地元で過ごすことも。時が経つにつれて次第に「松本清張さんがゑびすやに泊っているらしい」と噂が広がりますが、執筆活動の邪魔にならないように「そんな方はいない。そんなに偉い人が旅館にいるわけがない」と、滞在中はその存在を隠し通していたそうです。

また、大正館の2階「明月の間」の隣りには書斎があり、こちらは以前、湯上り休憩室でしたが、清張が時々執筆活動の部屋として使用していました。滞在中の後半は、鍵を渡して貸切にしていたのだとか。

現在では「清張の書斎」として一般公開されています。昭和を代表するミステリー作家が見た景色を眺めて、執筆当時の様子を想像したくなりますね。

ごんすけの湯

また、清張はゑびすやの温泉を気に入って、1日に何度も入浴することもあったのだそう。なかなかお目にかかれない源泉かけ流しの温泉は、当時も最高の贅沢だったのですね。

旅館の醍醐味であるお料理も見逃せません。11月6日にカニが解禁されるのに合わせて、松葉ガニをたっぷり使った贅沢なメニューをいただけます。

ゑびすやでは「カニ丸ごとを食す」をモットーに、余すことなくカニを食べることはもちろん、食後に出たカニの殻を粉砕し、契約農家さんに肥料として提供しています。野菜や果物まで安心・安全にいただけて、贅を尽くした絶品カニ料理をご堪能あれ。

■■INFORMATION■■

丹後の湯宿 ゑびすや
場所:京都府京丹後市網野町木津196-2
電話:0772-74-0025
公式ホームページ

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