運転なしで行ける本格温泉。硫黄の香りに包まれる「奥日光 森のホテル」で湯三昧

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2024/02/17

一言で温泉と言っても、その泉質は実にバラエティに富み、それぞれの湯に納得のいくよさがあるものですが、時々思い出したように恋しくなるのが硫黄のにごり湯です。

それも、ギュッと濃縮された硫黄の香りの濃〜い温泉。そんな気分になったときにフラリと訪れるのが「奥日光湯元温泉」。素晴らしい湯と自然環境にありながら都内からのアクセスがよく、上質な硫黄泉が楽しめるのでリピートしている温泉地です。

今回は湯元にある20余の宿の中から「奥日光 森のホテル」をセレクト。自然の中でのんびりと源泉掛け流しを堪能しながら、リラックスとリセットを叶えてくれるホテルをご紹介します。

細かなおもてなしが心に響く奥日光の寛ぎの場

開放感あふれる吹き抜けになった天井がリゾート感をかもしだすロビースペース ロビースペース image by:小林繭

日光国定公園の中に位置する奥日光湯元は湯ノ湖畔に位置するホテルや旅館が集まった小さな集落です。温泉寺や湿原の中に源泉畑が見られる場所もあり、夏場であれば白根山の登山者や周辺のトレッキング客の姿で賑わうエリアなのでしょう。

私にとっては、なぜかいつも訪れるのが真冬であることからか、真っ白な世界の中にぽっと現れるとても静かな集落という印象です。

室内楽のコンサートでも開けそうな広々としたラウンジスペース ラウンジスペース image by:小林繭

深々と雪が降り積る中「奥日光 森のホテル」に到着すると、館内はほっと肩をなでおろす暖かさで、そこはかとなく漂う硫黄の香りに早くも温泉欲が刺激されるのです。

1Fにはロビーとその奥に広々としたラウンジスペースがあり、左手にダイニングスペース、右手奥が温泉へと続きます。シンプルな配置と全25室のホテルとしてはコンパクトな点も私好みで、客室の居心地のよさも特筆したいポイント。

居心地のよい客室。湯上がりに冷えたビールを飲みながら、窓の外の雪景色を眺めるのが至福です  image by:小林繭

寛ぐのに十分な広さがある客室は、窓が大きく取られ、リビングの延長のような心地よいバランス感でまとめられています。

木の温もりを感じられるシンプルなデザインの家具で統一されているのも好ましく、窓辺のソファに腰掛けて外に映る雪景色の静けさと美しさを眺める時間もまた温泉逗留の醍醐味。そういった時間を自然に持たせてくれる空間であることに安心感を覚えます。


温泉郷の入口にある湯の湖。真冬は静寂に包まれた水墨画の世界に image by:小林繭

さて、ここからはメインの温泉の話。奥日光の湯は日本で4番目に硫黄濃度が高いと言われる硫黄泉。Ph6.5の弱酸性で総湧出量は、なんと1,769.5ℓ/分!

20本もの源泉を持ち、奥日光のみならず中禅寺湖周辺の宿にまで配湯されています。ですが、湯元ではほとんどの宿が自然沸出であることに対して、中禅寺湖ではくみ上げ式となり、湯元源泉地からパイプで送っているので、鮮度という点において圧倒的に湯元が勝ります。

湧き出た瞬間には美しいエメラルドグリーンの源泉は、空気に触れることによって乳白色へと変化。その日の気温や天候、さまざまな条件によって湯の色が微妙に変わる温泉の神秘を目の当たりにできるのも源泉がすぐそばにある湯元ならでは! 

真っ白な雪によく映えるミルキーブルーのにごり湯 image by:小林繭

「奥日光 森のホテル」は湯使いという点においても素晴らしく、特にその露天は新鮮な温泉の魅力を饒舌に語りかけてくれるもの。

大浴場は内湯から続く形で露天風呂が配置されているので、内湯で身体を温めてから露天へ移動できるのがポイント。これなら真冬でも1秒も寒い思いをせず露天に浸かることができます。

おそらくスタッフの方が作ってくれたのだと思う露天の雪だるまにほっこり! image by:小林繭

よくあるタイプの配置ではありますが、雪見の景観を優先するためか素晴らしい雪見温泉では露天だけ離れた場所にある宿も多く(中には脱衣所も半外という場合も!)、意を決しないと浴衣が脱げないことも珍しくはありません。

露天から眺める景色が森の中のこぢんまりとした風情であることもいいし、あたりが本当に静かであることも◎。

そして、雲が晴れた瞬間には露天に浸かりながら星見も叶うとくればパーフェクトとしか表現できません。いつも見上げているよりもずっとずっと濃い星空を眺めながらの雪見温泉に、日ごろのストレスも疲れもすべてがきれいさっぱり吹き飛びます。

メタケイ酸が多く含まれるため美肌効果が高い湯だということも述べておきましょう。

夕食のスタートはこんな感じ。見た目にも色々かわいいので楽しくなります  image by:小林繭

温泉欲を満たしに来た身としてはこの温泉だけで身体もココロもトロトロにほぐされてしまうのですが、こちらの宿は食事にもなかなか定評があります。

ダイニングスペースでいただくのは栃木産の美食をたっぷり盛り込んだ会席料理。美味しいものを少しずつ、たくさんの種類でいただけるのが嬉しく、一品一品手の込んだ上品な料理が華やかに盛り付けられて供されるのも好印象。晴れの日の会席料理といった具合です。

栃木産の新鮮な食材と山のご馳走に舌鼓み! image by:小林繭

湯葉や鱒などの日光名産や、きのこや山菜といった山の幸が豊富に使われ、すき焼き仕立てでいただく栃木和牛は砂糖代わりに綿飴を乗せるという演出のアイディアには驚かされました。栃木の地酒やワインなどお酒のラインアップが充実しているのも楽しく、思わず杯が進んでしまうはず!

豊富で気の利いたメニューの取り合わせが嬉しいビュッフェスタイルの朝食  image by:小林繭

朝食はリピーターから人気の高いビュッフェ形式となり、和洋食のメニューがずらりと並ぶ充実の内容でした。

緑の季節にはダイニングから眺める景色もさぞ心躍るものに違いなく、ラウンジの外にある「ごしんぼくテラス」に出て朝のマイナスイオンを浴びるのも気持ちよさそうです。

外はキンキンに冷えていても、館内はどこもかしこもあったか!  image by:小林繭

滞在でとても感心したことがひとつ。それは、真冬の山の宿ながら館内はどこもかしこも暖かくて、とにかくぬくぬく過ごせたこと!

廊下には床暖房が入っているので館内移動の際もスリッパを履かなくていいのですが、それってものすごい寛ぎポイントではないかと。

そもそも旅館やホテルでスリッパをつっかけて歩くのが好きじゃないので、いつもちょっとしたストレスに感じていますが、ここではたびソックスのまま歩けるので完全にストレスフリー。

床暖房で常に足先が暖かく保たれるので快適そのものです。窓の外の雪景色にぼーっと見入っていられるのも、常に身体がぬくぬく温まっているからこそ。

早朝や深夜でも露天の湯加減がいい塩梅に調整されていていることもすごいです!  image by:小林繭

豊かな自然と源泉に恵まれたこのホテルは、総合してバランスがよく、温泉好きにとってお値段以上の満足度が得られる温泉宿だと思います。

決して華美ではないけれどシンプルかつセンスよく整った空間やサービスと共に温泉リラクゼーションに徹する滞在がおすすめ。ひとりでの宿泊にも対応してくれるのも嬉しく、思い立ったら即にごり湯!を叶えてくれる宿です。

真冬の戦場ヶ原。それなりの装備をしていても凍てつく風にそう長くは外にいられません。極寒!  image by:小林繭

最後にアクセスについてまとめましょう。

奥日光は車の運転ができない人でも公共交通機関の利用でなんなく訪ねることができます。日光までは宇都宮まで新幹線で行ってJR日光線に乗り換えて行くこともできますが、東武線の特急列車が運行されているので、そちらの利用の方が断然お得。

所要時間は新幹線、特急とも東京から2時間程度です。日光から奥日光までは日光湯元行きバスに乗り約85分。

終点湯元温泉で降りれば、そこが湯元の集落。途中、中禅寺湖を過ぎたあたりからポツンポツンと点在するホテルや宿の姿もグッと少なくなり、視界に入ってくるものは自然のみといった風景に。

行き帰りに周辺の自然散策や日光観光をしたい人は途中乗り降り自由のフリーパス券を購入するのがおすすめです。

四季折々の表情を見せてくれる奥日光。きっと夏にはまったく異なる色彩に染まる森のホテルと出会えるはずなので、季節を変えて訪れたいと思っています。

でも実のところ春まで待てそうもなくまだ雪のあるうちに再訪してしまいそう、というのが本音。みなさんもこの冬の雪見温泉旅の行き先としていかがでしょうか。

周辺の湯ノ湖や戦場ヶ原ではスノーシューで冬の自然散策も盛んに行われているので、山の自然を楽しみたい人にとってもいい旅の宿となるはず!

  • 奥日光 森のホテル
  • 栃木県日光市湯元もみの木通り
  • 0288-62-2338
  • 東武日光駅/日光駅
  • ホームページ
  • image by:小林繭
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。インテリア、旅モノ、湘南情報を中心にお仕事しています。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。趣味は温泉。

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