2028年から大谷もプレー?スポーツ天国へ変わりつつあるギャンブルの街「ラスベガス」

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2024/04/13
ネバダ州ラスベガス・ボールパーク(2019年開場)。現在はオークランド・アスレチックス傘下3Aラスベガス・アビエイターズの本拠地に image by:角谷剛

ネバダ州ラスベガスでMLBのオープン戦を観戦してきました。3月9日(日本時間10日)に行われたミルウォーキー・ブルワーズ対オークランド・アスレチックス戦です。

ラスベガスにはMLB球団はありませんが、公式シーズンが開幕する前の春季キャンプ期間中にオープン戦が数試合だけ行われます。その年に選ばれた2チームがキャンプ地のアリゾナ州フェニックスから約500km離れたラスベガスへとやってきます。いわば地方興行です。

今年の春に大谷翔平選手を擁するロサンゼルス・ドジャースが韓国で開幕シリーズを迎えたことや、2019年にシアトル・マリナーズに所属していたイチロー選手の引退試合が東京ドームで行われたことと似た事情によるものです。

ラスベガス中興の祖ハワード・ヒューズにちなんだ3Aチーム

2028年開場予定の新球場デザインを展示するブース image by:角谷剛

今年のラスベガスでのMLBオープン戦開催にはもうひとつ別の大きな話題がありました。2024年シーズンに先立って、2028年にアスレチックスがラスベガスへ移転することが正式決定していたのです。

アスレチックスは新たな本拠地スタジアムを老舗カジノホテルである『トロピカーナ・リゾート&カジノ』の敷地内に建設する予定で、今年4月からは旧ホテル建物の解体が始まります。

オープン戦の様子 image by:角谷剛

しかも、オープン戦が行われたラスベガス・ボールパークは現在アスレチックス傘下の3Aチームである『ラスベガス・アビエイターズ』の本拠地でもあるのです。スタンドには新スタジアムの完成予想図やパンフレットを配布するブースが設けられていました。

アビエイターズとはもちろん、2004年公開のレオナルド・ディカプリオ主演映画『アビエイター』(The Aviator)を連想させるためのチーム名でしょう。ラスベガスをマフィアから解放したと言われるハワード・ヒューズの伝記映画です。

ラスベガス・ボールパークは最大収容人数が約12,000人の小さな球場です。2019年開場というだけあって、とても新しく、清潔で、明るい雰囲気に包まれています。

ラスベガス・ボールパーク外野席にはプールもある image by:角谷剛

アスレチックスはオークランドの現本拠地スタジアムとのリース契約が今シーズン末で終了します。2028年に予定されている新スタジアム完成までの2025-2027年シーズンはサクラメントを仮の本拠地とすることが決定しました。


このラスベガス・ボールパークもその有力候補のひとつだったのですが、やはり同じカリフォルニア州にあるという点が評価されたようです。

すっかりこの球場のファンになってしまった私としては、ここでMLB公式戦を観ることができないのは誠に残念です。たとえマイナーリーグの試合であっても、訪れる価値がある球場ですけど。

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MLBだけじゃない。ラスベガスにメジャースポーツが続々とやってくる

ラスベガス・ストリップ image by:角谷剛

第2次世界大戦が終わったばかりの1945年、伝説のギャング、「バグジー」ことベンジャミン・シーゲルが何もなかった砂漠にフラミンゴ・ホテルの建設を始めました。そこからラスベガスの新たな歴史が始まったとされています。

以来、次から次へと巨大カジノがラスベガスに誕生し、ギャンブルの街として発展を遂げました。その「Sin City(罪深い都市)」が、ここ数年で急激にスポーツ天国へと変貌しつつあります。

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ベガス・ゴールデンナイツの本拠地T-モバイル・アリーナ image by:Usa-Pyon/Shutterstock.com

ラスベガスは長い間スポーツファンにとっては不毛の都市でした。ボクシングの世界タイトルマッチや総合格闘技の大会は行われていましたが、それらもスポーツと言うよりはエンターテイメント色が強いイベントに過ぎませんでした。

北米4大プロスポーツのチームが初めてラスベガスに誕生したのは2017年。今からたった7年前のことです。

アイスホッケーの最高峰リーグであるNHLにベガス・ゴールデンナイツが新設されました。ゴールデン・ナイツは昨シーズン、創立6年目にして早くもスタンレーカップ初優勝を果たしています。

アレジアント・スタジアム image by:Katherine Carey/Shutterstock.com

2020年にはアメリカで最大のプロスポーツ組織であるNFLもラスベガスにやってきました。オークランドから移転したラスベガス・レイダースです。

最初のシーズンを新型コロナウイルスのパンデミックによる無観客開催という不運に見舞われましたが、2024年のスーパーボウルは新本拠地アレジアント・スタジアムで行われました。

前述したように、2028年にはMLBラスベガス・アスレチックスが加わります。

現在のところ、ラスベガスに本拠地を置くNBAチームはありませんが、2023年から始まった公式シーズン中のトーナメント『NBAカップ』の準決勝戦と決勝戦がラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われました。初代チャンピオンに輝いたのは八村塁選手を擁するロサンゼルス・レイカーズでした。

F1ラスベガス・グランプリ image by:cristiano barni/Shutterstock.com

モータースポーツの最高峰であるF1も2023年11月に初めてラスベガスの中心部で市街地レースを行いました。2回目のラスベガス・グランプリは2024年11月23日に開催される予定です。

ギャンブル、エンターテイメント、グルメ、ショッピングなど、ラスベガスを訪れる人には選ぶに迷ってしまうほどのさまざまな楽しみが提供されています。これからは、世界最高峰のスポーツ観戦を1年中楽しめることも、その魅力のひとつに加わるでしょう。

  • image by:Unsplash
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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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