外国人がなぜ村に殺到? 日本で唯一、村の名前に“温泉”がつく「野沢温泉村」散策

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2024/06/15

日本で唯一、村の名前に“温泉”がつく「野沢温泉村」。近年、冬季はサラサラのパウダースノーを求めて長期滞在する外国人スキーヤー&スノーボーダーたちのパラダイスとなっていますが、温泉を楽しむならのんびり過ごせるグリーンシーズンがおすすめです。

野沢温泉があるのは長野県北部、下高井郡。新潟県にほど近い標高1,650mの毛無山の裾野に位置します。その歴史は古く、聖武天皇(724~748年)の時代に僧・行基によって発見されたと伝わり、江戸時代初期には宿屋が立ち並んでいたそう。

この辺りは全国でも屈指の豪雪地帯で(そのため現在ではスキー場が充実していますね!)、起伏が激しい地形のため細い坂道が幾重にも蛇行する温泉街の風景は昔ながらの温泉情緒にあふれます。

 

外湯めぐりで“あつ湯”の洗礼を受ける!

レトロな看板が並ぶ野沢温泉の街並み image by:小林繭

野沢温泉といえば外湯めぐり。38の源泉を持ち、毎分1,700リットルもの温泉が沸くこの地には、13カ所の共同浴場が点在し、その外湯をあっちの湯、こっちの湯とめぐりながら浴衣姿で歩くのが何よりの醍醐味です。端から端まで歩いても20分ほどの大きさのなので、歩けば共同浴場にぶつかる、という感じ。

江戸時代の湯屋建築を模した美しい「大湯」の外観 image by:小林繭

いくつかピックアップして紹介すると、野沢温泉のランドマーク的存在となるのが温泉街の中央に位置する「大湯」。そこから少し坂を下ると「河原湯」があり、麻釜通りには麻釜源泉を引く「麻釜の湯」が。共同浴場の中で一番大きい「中尾の湯」は温泉街のはずれにあるので、ゆったりと入浴したいときにおすすめ。

どの共同浴場から攻めようかと思案しますが、覗いたときに人が少ない温泉からお邪魔するのがいいと思います。小さなサイズの浴場が多いので、タイミングによっては湯船がいっぱいということも。

「新田の湯」には「熱湯注意」の表記も image by:小林繭

といっても基本的に野沢温泉の湯は“あつ湯”なので、観光客はみな長居しません。ちょっとタイミングをずらせば空いていたりするので、タイミングを大切に。

この“あつ湯”、慣れない観光客が苦戦を強いられる場面にもちょくちょく出くわします。 “あつ湯”の温泉では、十分なかけ湯を行うことがポイント。

野沢温泉の中では比較的ぬるめの湯が嬉しい「熊の手洗湯」image by:小林繭

つま先や足先の心臓から遠いところから始めて、少しずつ身体へと移行して行うこと20回〜30回。徐々に身体が慣れてくるので、それからそっと湯船へ入れば不思議と湯に身体が馴染みます。


地元の方々は“あつ湯”に慣れているので、涼しいお顔で浸かってらっしゃいますが、どうしても熱くて入れない場合は、一言断って水を入れさせてもらうといいでしょう。

ぬる湯とあつ湯、ふたつの湯船がある「大湯」image by:小林繭

いくつかの共同浴場では、熱い湯を好む人とそうでない人のために浴槽をふたつにわける工夫もあり、これは嬉しい気遣い。でも、野沢温泉の“ぬる湯”は、一般的に“ぬる湯”と呼ぶ温度よりもはるかに熱いというのも事実。無理のない範囲でお楽しみください。

ちなみに、“あつ湯”の温泉の嗜み方は、長時間浸かることによってリラックスを求める“ぬる湯”とは対称的。さっと湯に浸かることを数回繰り返し、パッと湯から上がることで、身体も脳みそもサッパリ、シャキッと生き返るわけなんですね。

野沢温泉はクラフトビールの種類も豊富 image by:小林繭

確かにこれはこれで最高に気持ちよく、湯上がりのビールには“ぬる湯”の長湯よりもむしろ短時間の“あつ湯”の方が合うと思っています。

温泉街にはバルや食事処も数多く軒を連ねるので、“あつ湯”でシャキッとしたら、冷たいビールで湯上がりの一休み。そしてまた散策しながら一風呂浴びる、がエンドレスに楽しめます。最高!

※注意
共同温泉は江戸時代より湯仲間と呼ばれる制度で地元の方々によって大切に守られてきているもの。これだけの数の観光客が利用しているというのに、いつ訪れてもとても清潔に保たれ、心地いい湯が流れます。利用の際にはお邪魔させていただくという気持ちを忘れずに、賽銭箱用に小銭の準備があるとよいでしょう。

温泉街だけど外国みたい!

裏路地にも洒落たバーが点在 image by:小林繭

さて、野沢温泉の醍醐味は温泉だけではありません。共同浴場や旅館など昔ながらの温泉街の街並みに溶け込んでイマドキのお洒落なカフェやバーが点在するのがいいんです。

人気の「狸カフェ」。コーヒーのほか、アルコール類や軽食も image by:小林繭

土産物屋と並んで朝早くから深夜まで音楽をかけるオープンカフェがあり、蕎麦屋の先には表参道あたりにありそうな通りを眺めるカフェ、アウトドアショップではクラフトビールも提供…。

同じ通りに立っていても、ファインダーを向ける方向によって見える景色がまったく異なるのがとっても面白く、普段の温泉地訪問とは違った楽しみが発見できます。

店先から流れるロックがBGMとして背景に馴染む温泉街って、なかなか珍しいと思いませんか?ここでは、温泉宿で夕食を食べた後に徒歩数分で深夜まで営業するミュージックバーに遊びに行けて、バーで盛り上がった後にまた温泉に入って布団にもぐりこむ、という行動パターンが可能。

野沢温泉村の魅力を世界に発信しようと、2022年にオープンした「野沢温泉蒸留所」image by:小林繭

この特異な温泉街は、泊食分離を好む外国人観光客のニーズに合わせて自然とできあがったものですが、湯上がりにタップでいただけるクラフトビールバーが気軽に利用できたりするのは、まったくもって悪くありません。浴衣姿で共同浴場めぐりとカフェタイムが過ごせるって、なかなかオツな体験です!

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