耳から涼やかに!京都の風鈴祭
夏になると、民家の軒下に吊るされる風鈴がチリン、チリンと鳴り響く光景がよく見られ、昔から日本の夏の風物詩として知られています。風鈴の優しく涼やかな音色は、夏の暑さをしばしの間忘れさせてくれますよね。
京都府内では、夏になるとたくさんの風鈴で境内を彩る行事が、いくつかの神社仏閣で行われています。今回は、そんな京都の風鈴祭をご紹介。夏の暑さを和らげる澄んだ音色を聴きにいきませんか?
意外と古い!「風鈴」の歴史
風鈴の歴史は古く、奈良時代に中国から仏教ともに日本に伝来したそうです。元々は青銅製の「風鐸(ふうたく)」と言って、獣や魔物を追い払う魔除けの道具として寺院の屋根に吊るされていたのだとか。平安や鎌倉時代の貴族が魔除けとして屋敷に吊るし始め(「風鈴」の呼び名は平安時代から)、江戸時代にガラス製の風鈴が登場し、夏に音で涼しさを感じられる道具となっていったようですよ。
五感で涼を感じられる“風鈴寺”
【宇治田原町】正寿院
期間:2024年6月1日~9月30日
宇治田原町にある、ハートの形をした猪目窓や花天井でも有名な正寿院が、別名“風鈴寺”と呼ばれていることをご存知でしょうか。夏になると、正寿院の境内には色とりどりの2000個を超える風鈴が飾られることがその由縁です。
人間の五感「眼耳鼻舌身」で涼を感じてもらいたいとの思い、そして御本尊である観音様の厄除けにもあやかり風鈴を吊ったことが始まりとのこと。特に、正寿院がオリジナルで製作している、季節の花々をあしらった艶やかな「花風鈴小径」の光景は圧巻です。
正寿院の風鈴まつりでは、全国の珍しいご当地風鈴も見ることができます。
石川県の希少伝統工芸「加賀水引」で作られたものや、青森県の「ねぶた祭」を連想させる花笠をあしらった「花笠風鈴」、鋳物特有の表面がざらざらした宮城県の伝統工芸の「松笠風鈴」や秋田県の「御殿毬風鈴」など普段出合うことがない貴重な風鈴も鑑賞することができます。
風鈴まつり期間中、大人も子どもも楽しめるオリジナルの風鈴作り体験も行われています。自分で絵付けした風鈴で味わう音色は、特別なものになりそうですね。思い出作りやお土産にもぴったりです。
また、お茶で作るお香づくり体験もあり、すりつぶしたお茶の葉を木の型に入れ固めて作ります。お菓子みたいで可愛らしい出来栄えに。
「風鈴絵付け体験」1600円、「お茶でお香つくり(要予約)」3000円
INFORMATION
正寿院
京都府綴喜郡宇治田原町奥山田川上149
0774-88-3601
拝観時間 9:00~16:30(12月〜3月の冬季は10:00〜16:00)
拝観料 600円(風鈴まつり期間中は800円)
※毎年4月第3日曜日は終日客殿のみ拝観可
※毎年8月17日は終日拝観中止
アクセス:京阪・JR宇治駅から宇治茶バス(土・日曜、祝日のみ)奥山田正寿院口下車徒歩15分、京都京阪バス維中前バス停よりタクシー利用で約10分、国道307号から宮垣内交差点(奥山田開館付近)を南進約1km
風鈴の音色に願いを込めて「風鈴祈願」
【京都市】松尾大社
期間:2024年6月1日~9月1日
緑豊かな桂川の畔にある松尾大社。京都洛西の総氏神として、また酒造の神様としても有名な神社です。
こちらでは、願い事を書いた短冊を風鈴に吊るして成就を願う「風鈴祈願」が行われています。鈴は神代の昔より神事に用いられており、清らかで涼しげな音色から“すず”と名付けられたそうで、その音色は神様を慰めるのと同時に、参拝者の罪穢れを祓うものと言い伝えられています。
多くの風鈴が奏でる音に涼を感じながら、心清らかに参拝できるようにと、手水舎を中心に風鈴が吊るされています。開催は今年で5回目となり、年々風鈴の数も増え、今年は約800個の風鈴が涼やかな音色を響かせています。
6月1日から、八朔祭(京都で最後の夏祭り)が行われる9月1日まで、境内には「無病息災」や「家内安全」など参拝者の願いが込められた風鈴が飾られます。「風鈴祈願」の短冊祈願料は500円。
INFORMATION
松尾大社
京都市西京区嵐山宮町3
075-871-5016
拝観時間 9:00〜16:00(日曜・祝日は~16:30)
拝観料 500円
アクセス:市バス「松尾大社前」、阪急電車「松尾大社」駅からすぐ
境内回廊に1000の風鈴が飾られる「七夕風鈴まつり」
【京都市】平安神宮
期間:2024年6月22日~8月31日
京都三大祭の一つ「時代祭」で広く知られている平安神宮。毎年夏になると、「七夕風鈴まつり」が開催されています。
重要文化財の境内回廊に飾られた約1000個の風鈴には、参拝客が願い事を書いて奉納した短冊が吊るされています。短冊初穂料300円で、どなたでも奉納することができます。
平安神宮では、広大な日本庭園を眺めながら風鈴を楽しむことができます。東神苑に架かる泰平閣(橋殿)にも風鈴が吊るされており、吹き抜ける風にゆられて、澄んだ音色を奏でます。拝観料600円が必要です。
また、七夕風鈴まつりの期間しか手に入らない特別な御朱印(初穂料500円)をいただくこともできます。涼しげな水色に可愛らしい風鈴のイラストが入った素敵な御朱印です。
INFORMATION
平安神宮
京都市左京区岡崎西天王町97
075-761-0221
参拝時間 6:00~18:00(3月15日~9月30日)
アクセス:JR「京都駅」より市バス5系統・100系統・110系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、北へ徒歩5分(京都駅より約30分)
阪急「河原町駅」より市バス5系統、46系統、32系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車、北へ徒歩5分(河原町駅より約20分)
- image by:KYOTO SIDE(画像:左上・左下は正寿院、右上は平安神宮、左下は松尾大社)
- source:KYOTO SIDE
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。