日本人の心を癒す、懐かしい絶景。郷愁漂う新潟県「星峠の棚田」の魅力とは
日本国内には、遠方から時間をかけてでも見に行きたい絶景が数多く残されています。そのなかでも、特に街中に住む人であっても郷愁を感じさせるのが田舎の田園風景。
季節によって色を変える自然の姿、そしてそこで育まれる大地の恵みと人々の生活は日本人にとってどこか懐かしく、特別な気持ちにさせてくれるものです。
米どころ、新潟県にはそんな素敵な風景がたくさん!なかでも近年、特に人気を集めているのが「星峠の棚田」です。今回は大切な人と静かに楽しみたい絶景、星峠の棚田をご紹介しましょう。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
星峠の棚田とは?
「星峠の棚田」は新潟県十日町市にある田園風景のことです。棚田とは、山の傾斜に沿って階段状に作られた田んぼのことで、日本各地に点在しています。
山の多い日本の地形のなかで、いかにして効率よく作物を作るか、昔の人々の知恵の結晶が棚田です。棚田はその土地の人々によって受け継がれ、令和となった現在もその姿を見ることができます。
「星峠の棚田」もそのなかのひとつ。昔の人々にとってみると特別な風景ではなかったのかもしれませんが、生活スタイルの変わった現代では絶景と呼ぶにふさわしい美しい風景が残されています。
「にほんの里100選」にも選ばれた絶景
「星峠の棚田」が全国にその存在を知られるようになったのは、2009年に「にほんの里100選」に選出されたことがきっかけです。
この「にほんの里100選」とは朝日新聞と森林文化協会が協力して行った事業で、美しい山里の風景を未来へと残すことを主な目的としたものでした。「にほんの里」の定義は以下の3点。
- 暮らしが生み出した里山との調和(景観)
- 動植物がすこやかに暮らしている(生物多様性)
- 里の恵みを活かす人々の営みがある(人の営み)
まずはこの3つの点を持った里山を全国から推薦で集め、集まった4,500件近くの応募から協議や現地調査を行い、『男はつらいよ』シリーズなどを手掛けた山田洋次監督を始めとする選定委員会が最終的に100の里を選ぶ、という大掛かりなものでした。
そして新潟県から選ばれた「松之山・松代地域」を代表する、とても美しい光景としてその名が知られるようになりました。
また、同じ2009年にNHKの大河ドラマ『天地人』のオープニング映像の一部となったことも人気に火がついた要因でした。
「星峠の棚田」を訪れる際の注意点
このような経緯で大人気となった「星峠の棚田」ですが、先の定義通り観光地ではありません。田園は私有地で、現在ももちろん作物が育てられています。
その美しい光景に魅了され夢中になってしまうあまり、農作業の邪魔になったり農家さんの写真を勝手に撮影したり、といった事例が十日町市観光協会に報告されているよう。そしてこのままだと規制が必要になるかもしれないと発表されています。
せっかくの絶景を誰もが気軽に見られなくなってしまうのはあまりにも残念です。絶対に迷惑にならないよう、決められたルールを守って見学させていただくよう心に留めておきましょう。
星峠の棚田へのアクセス
「星峠の棚田」へは、公共の交通機関では近くまで行くことができません。そのため近くの駅でレンタカーを借りるか、タクシーに乗車するのが一般的なアクセス方法です。
最寄りの駅は十日町市内にある北越急行ほくほく線「まつだい駅」ですが、同駅近くにレンタカーはないので「十日町駅」で下車して向かいましょう。棚田は観光地ではないものの、多くのかたが訪れるため駐車場と展望台があります。
ただ、雪深い新潟県。冬の間のアクセスがとても困難になります。冬期間(11月中旬~4月下旬)は、除雪をしないため車の侵入ができませんので注意しましょう。
ベストシーズンはいつ?
冬に訪れるのはとてもハードルの高い「星峠の棚田」。では、どの季節に訪れるのが良いのでしょうか?
雪に覆われる冬以外の季節はいつ訪れてもとても美しい光景が見られますが、それぞれ特徴があります。どんな棚田が見たいのかを先に決めて、訪れる時期を決めると良いでしょう。
「水鏡」は春と秋
「星峠の棚田」の代表的な姿といえば、棚田に水が貼られ光り輝く姿です。風のないよく晴れた日、水面に青い空が映り込むようすは「水鏡」と呼ばれ、ハイライトのひとつとなっています。
水鏡が見られる時期は田んぼに水が張られる春と秋の2回。雪が溶けた後から6月末ごろまで、そして10月後半から雪が降り始めるまでの限られた時期です。田んぼに稲を植える準備が行われる春、そして稲を刈り終えた後ですね。
特に美しいのは、緑と水鏡のコラボレーションが見られる春です。見渡す限りの緑のなかに見えるいくつもの水鏡は驚くほど美しく感動してしまうでしょう。
「雲海」は6月下旬と9月の早朝
多くのカメラマンたちが絶景を撮影しようとこぞって訪れるのが6月の下旬と9月の早朝。運が良ければ現れるのは、棚田を覆い尽くす「雲海」です。
すぐそこにあるはずの棚田が見えなくなるほど深く濃い雲海と、朝日が差し込み雲海が晴れて行くようすはとても神秘的で神々しささえ感じます。
この一瞬を見ようと朝早くから多くの人が訪れますが、雲海が見られるかどうかは時の運。たとえ雲海が見られなかったとしてもこれ以上ないほど清々しい日の出を体験できるので、朝早くに訪れるのはとてもおすすめです。
稲刈り前の棚田もおすすめ
里山の風景といえば秋の紅葉を思い浮かべるかたも多いのではないでしょうか。もちろん「星峠の棚田」周辺でも美しい紅葉が見られます。が、おすすめしたいのは紅葉の一足前、ちょうど稲刈り前の時期です。
田んぼの稲が豊かに実り首を垂れたようすも素敵ですし、遠くから見ると稲の黄金色に輝く棚田が見られます。
棚田の周囲は秋を迎えたばかりでまだ夏の深い緑色をしており、そのコントラストがとても美しくこれぞ日本の風景!といった風情です。
虫の声が聞こえるのも秋を迎える雰囲気をより一層盛り上げてくれる要因。美しいだけでなく、恵みを与えてくれる棚田を改めて感じられる唯一の時期です。
季節によって違う顔を見せてくれる「星峠の棚田」は、何度も繰り返し訪れたくなる特別な絶景です。季節だけでなくその日の天気、時間帯、見る角度などによっても風景が変わります。
皆さんもぜひ、その日出会えた棚田を思い出に刻んでみてはいかがでしょうか。
- 星峠の棚田
- 新潟県十日町市峠
- 十日町市観光協会 公式サイト
- image by:Shutterstock.com
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