忘れられない夏。福島の子どもたちがイタリアの島にサマーステイ
大人たちにできることは、グローバルな成長と活きる力を応援すること
「健康的な自然環境の中で子どもらしく夏休みを満喫し、家族から離れ、異文化で共同生活をした経験は、小さい彼らをとてもたくましくし、これから生きていく中でさまざまな困難にも立ち向かっていく“活きる力”を育んでいると確信しています」と話すのはオルト・デイ・ソーニの代表 小林もりみさん。
確かに小さな子どもにとって、親や家族と離れて暮らす1ヶ月はとてつもなく大きな非日常体験。自然や食文化、そして人々のおおらかさでも群を抜くイタリアでの体験が、子どもたちのその後の成長に影響を与えないわけがありません。
さて、ここまで読んできて、気になる方は気になっているかと思いますが、このオルト・デイ・ソーニのサマーステイは、すべて無料招待という形で運営されています。
応募条件を満たす8歳から12歳までの子どもなら誰でも参加資格があり、一夏をサルデーニャで過ごすチャンスが与えられるのです。サマーステイの運営にあたるのは、すべて100%無償のボランティアの方々。
活動費や交通費など自腹を切っても実施を実現していると聞けば、はるばる日本から海を越えたイタリアに住む人々がここまで福島の子どもたちのためにしてくれることには、驚きを越え感動として私たち日本人の心に届きます。
子どもたちのステイに贅沢なことは一切ないけれど、何もない自然のなかから遊びを見出し、喜びを見出し、自然と現地の人々の素朴な真心のホスピタリティに寄り添って実現させるサマーステイには、運営する側にもたくさんの想いがこめられていることがわかります。
実は、イタリアは、’86年よりチェルノブイリの子どもたちを転地保養に受け入れ「1ヶ月の保養が、その後1年間の健康維持のための免疫力と抵抗力を養う」を実証している国。
福島での大震災後、何か福島の子どもたちのためにできることないか?とイタリア在住の日本人と日本を愛するイタリア人たちが声をあげ、生まれたのがオルト・デイ・ソーニでした。素晴らしいグローバルシップの信念が基盤にあるからこそ海を越えて実現したプロジェクトです。
サルデーニャの自然と安全で守られた環境の中で、みるみる笑顔を増やし体力をつけ、様々な出会いを育ち盛りの彼らの貴重な栄養源とし、ひとまわりもふたまわりも成長して日本へ帰っていく子どもたちの姿は、その家族はもちろんイタリアでプロジェクトに携わるスタッフたちみなを幸せな気持ちにし、希望と勇気を与えてくれます。
また、このプロブラムを通して、ボランティアスタッフや地元の人々などイタリアと日本の若い世代の交流が充実していくこともとても喜ばしいこと。
これからの世界を活きる人々にとって、イタリアの持つおおらかさやホスピタリティの深さには、たくさんの“活きるヒント”がつまっているように思えます。
8月末の夏休みが終わるころ、今年もきっとまたイタリアが大好きなった福島の子どもとその家族たちが確実に増えていくことでしょう。そんな彼らにとってサルデーニャがずっと第二の故郷であり続けられることを、そして後に続く福島の子どもたちにとってのこの夏の家がこれからもずっと継続していくことを願わずにはいられません。
<オルト・デイ・ソーニについて>
オルト・デイ・ソーニは、完全なるボランティアスタッフで構成される非営利協会です。2011年3月11日の東日本大震災後に、イタリア在住の日本人と、日本を愛するイタリア人によって設立されました。オルト・デイ・ソーニについて詳しい情報はこちらから
- image by:オルト・デイ・ソーニ
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。