スペース無料で電源もOK。表参道にある「ホテル開業準備室」って何?
表参道駅からすぐ、青山通り沿いに来年開業するホテルの開業準備室がフリースペースとしてオープンしているのをご存知ですか?
その名も「TRUNK (HOTEL)開業準備室」。ホテルではなく、ホテルの開業準備室ってどういうこと?と思ったそこのあなたのために、一体どんなところでどんなことが行われているのかレポートしてみたいと思います。
使い方は自由自在。人が集まり、地域とコミットするフリースペース
「TRUNK (HOTEL)開業準備室」は、一言で言えば誰でも自由に利用できるフリースペース。自由に本を手にとって閲覧できるライブラリーや期間ごとに展示を
特に使用料などを払わずとも、訪れた人は好きなだけ自由に使うことができるようになっています。もちろんwifiも完備。PCを持ち込んで仕事をする人や打ち合わせの場所として使う人も少なくありません。
スペースを貸し切ることもできるので(こちらは有料)、ミーティングやワークショップ、イベントなどに活用することもできます。
なぜホテルがこのようなフリースペースを解放しているのか?というと、その答えはホテルの掲げるコンセプトにありました。
“ソーシャライジング”のアイディアは、思ったよりも身近なところにある
来年オープンする「TRUNK (HOTEL)」は、“ソーシャライジング”をコンセプトに掲げるホテル。
“ソーシャライジング”と一言で言っても、様々な捉え方ができるので「一人一人が日々のライフスタイルの中で自分らしく、無理せず、等身大に社会的な目的を持って活動すること」と定義づけています。
「オープンに先駆けてこのフリースペースを設けたのは、青山や原宿エリアの人々に“ソーシャライジング”という言葉と、新しい社会貢献のカタチを知っていただくためなんです」と語るのは株式会社テイクアンドギヴ・ニーズでTRUNK(HOTEL)の広報を担当する小倉香織さん。
「わたしたちスタッフがいくら素晴らしいコンセプトだと思っても、お客様にそれを伝え理解していただかないと意味がありません。“ソーシャライジング”とは何かを言葉で説明するよりも、実際に見て体験してもらいたいと考え、それならホテルの開業に先駆けて、このエリアを訪れる人々が“ソーシャライジング”を体験できるスペースを用意しようと開業準備室を設けたんです」
小倉さんが言うとおり、確かに“ソーシャライジング”って頭で理解することではなく、実際にそこに自分が加わることに意味があります。
「TRUNK (HOTEL) 開業準備室」では、サービスはもちろん、内装やコンテンツがすべて社会貢献につながるようデザインされているので、その一部を紹介しましょう。
置いてある家具は、廃棄されるバス停のベンチやオフィスの家具などをリメイクしたものです。カフェでは一杯100円でコーヒーを飲むことができますが、その売り上げの一部は渋谷区社会福祉協議会に寄付されるという仕組みが作られています。
また、実はホテルの母体となるのがウエディング会社ということもあり、ウエディングパーティの際に大量に出るワインのコルクを利用した椅子作りなども行っています。
ホテルで使用するグラスやマグカップなどの備品にも“3R(Reduce Reuse Recycle)”の考え方が活かされているのはもちろん、廃棄された自転車のパーツを再利用してリサイクル自転車を作り、レンタル用に貸し出すという取り組みも。聞けば聞くほど、ホテルの在り方全体が環境を配慮し、地域とコミットするよう仕組みづくりがされていることがわかります。思わず「なるほど!」とうなずきますね!
この気軽に利用できるフリースペースでは、はじめて訪れた人でも「TRUNK (HOTEL)」が提案する“ソーシャライジング”な仕組みを見聞きすることができますが、それ以上に興味深いのは、そこに集まる人々同士の間に生まれるコミュニケーション。
近くにオフィスを持つ人々などはこの「TRUNK (HOTEL)開業準備室」を利用しているうちに、互いに顔見知りになり、徐々に自然と挨拶や会話を交わすようになります。そんな人と人のつながりから、また何か新しいアイディアが生まれることも。
現在の開業準備室がある場所は青山。そしてホテルがオープンするのは原宿・明治神宮前。オフィスワーカーや周辺の商業施設で働く人々をはじめ、プライベートでショッピングに訪れる人々や、外国人観光客の姿も多いエリアです。そんなそれぞれに異なる背景を持つ人々をつなぎ、外からやってきた人々にも溶け込みやすいコミュニティーをホテルが主導をとって行うとは、確かに今までにはなかった試みです。
「TRUNK (HOTEL)」が目指すのは、既存のホテルの概念をくつがえすまったく新しい形のホテルなのですね。
来年の開業が楽しみなこの「TRUNK(HOTEL)。今後の動向にもぜひ注目したいと思います。
- image by:小林繭
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