陶芸史上最大の謎を追い求めて。妖艶に輝く「大山焼き」の可能性
「曜変天目」に魅せられて
そんな窯元当主である鈴木さんが生涯かけて追い続けているもの。それは、『曜変天目』と呼ばれる世界に数点しかない国宝です。 『曜変天目』とは、簡単に言うと、曜変模様の天目茶碗のことです。では曜変模様とは何なのか?
黒色の釉薬の上に、銀白色に光る星(曜)の斑紋が浮かび上がります。中国から伝来したこの曜変天目ですが、この妖艶な文様をどのように発現させたのか、成分、製造工程が全く不明なのです。この天目茶碗が作られたのは中国ですが、その中国にも製造方法などの情報は何も残っていません。鈴木さんの話によると、中国や日本にはこの曜変天目を再現しようと生涯かけて追い続けている人が現在もなお多くいますが、完全にこの『曜変天目』を再現できた窯元はいまだにないそうです。そして、鈴木さんもその妖艶な魅力にとりつかれ、生涯をささげて謎の解明に向けて研究を続けていらっしゃいます。
この世界に新たに『曜変天目』がお目見えする日も近いかもしれません。
鈴木さんが研究者である一方、一緒に久古窯で陶器を制作されている奥さまと息子さんは、おしゃれで手になじむ使いやすい陶器づくりに取り組んでいらっしゃいます。日常使いのお茶碗や湯呑みの他、チャックデザインをあしらった焼酎グラス、大山の形をしたマグカップなど、他にはないようなデザインの焼物も作っています。 久古窯には、鉄釉の銀色に輝く陶器ばかりでなく、心が温まるほっこりしたアイディア陶器も並んでいます。鳥取県にお越しの際は、ぜひ足を運んでみてくださいね!
大山焼 久古窯(だいせんやき くこがま)
鳥取県西伯郡伯耆町久古1401
Tel: 0859-68-2098