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【歴史ミステリー】なぜ「五重塔」は、いまもなお全国で造られるのか?

坂本 正敬
坂本 正敬
2019/02/07

全国各地、まずはチェックしたい五重塔は?

京都 東寺の五重塔 image by: Shutterstock.com

先ほどは22カ所の国宝、もしくは重要文化財の五重塔を一覧にしました。もちろん、明治以降に建てられた五重塔も数多く存在しますが、まずは実物を眺めて拝みたい塔は、上述の22カ所です。

北は青森から、南は山口県にまで至りますから、この22塔を巡るだけでも、かなりの旅になりそうですよね。

奈良・法隆寺の五重塔 image by:Vladimir Zhoga/Shutterstock.com

なかでも特徴的な塔をピックアップすると、法隆寺(奈良県)の五重塔世界最古の木造建築であり、醍醐寺(京都府)の五重塔は、見た目のバランスがとても美しく、理想のプロポーションを持つ「名塔」と評価されていると聞きます。

また優美さでいえば、瑠璃光寺(山口)の五重塔を推す声も、筆者の周りでは少なくありません。

さらに厳島神社(広島県)、日光東照宮(栃木県)は世界文化遺産にも指定される神社でありながら、仏陀(ぶっだ)の墓という本来の意味を超えた信仰の対象として、五重塔が建てられています。

山形・羽黒山の五重塔 image by:tabi-buta/Shutterstock.com

羽黒山(山形県)の五重塔に関しては、明治維新で吹き荒れた廃仏棄釈で破壊されそうになったものの、信者の機転で心柱に祭られていた観音菩薩像を隠し、日本の神である大国主命を祭って難を逃れたという歴史を持つのだとか。

ほかにも、空海創建の教王護国寺(東寺)の五重塔では、日本一高い塔の周りに修行僧が並び、真言を唱える姿を眺められます。

上述した五重塔のはそれぞれに長い歴史があり、それぞれの役割があります。ひとつひとつの塔を巡り、歴史と人々の信仰心を感じながら手を合わせると、特別な感慨を得られるかもしれませんね。

五重塔の鑑賞の方法としては以下を意図的に見てみると、より楽しめるといわれています。


・一番下の層と一番上の層の大きさのバランス

下の層が大きく上が小さいとどっしりとした感があり、下の層と上の層がそれほど変わらないと、すらりとした印象を受ける。

・骨格の美と装飾の美の対比

→内部構造がそのまま外観になっている骨格と、窓や手すりなどの装飾で外観を整えている装飾の対比。

・張り出した屋根(軒)の深さと反り返り

・塔身(塔の本体)と屋根(軒)の配置のリズム

五重塔を拝む機会に恵まれたら、少し上述の点を意識してみるだけでも、見方が深まるはずですよ。

  • 参考
  • 『不滅の建築1 法隆寺五重塔』(毎日新聞社)
  • 濵島正士、坂本功監修『五重塔のはなし』(建築資料研究社)
  • 黒田重義著『大工力 -五重塔から立体トラスとまでー』(理工学社)
  • 『NHK美の壺 五重塔』(NHK出版)
  • 上田篤著『五重塔はなぜ倒れないか』(新潮社)

image by: Shutterstock.com

※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。

※一部、本文内容を修正しました。(2019年2月13日)

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

【歴史ミステリー】なぜ「五重塔」は、いまもなお全国で造られるのか?
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