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境内に伝説の生き物が?異国情緒あふれる宇治「萬福寺」を大解剖

KYOTO SIDE
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2019/05/23

お寺っぽくない!?プリティーな扉

開け放つことで魔を払う桃戸

正面から見た大雄寶殿

先ほどから度々登場している大雄寶殿は、萬福寺の本堂。中にはご本尊の釈迦牟尼仏や十八羅漢(中国人仏師・范道生の作)が安置されています。

萬福寺のお坊さんは毎日朝・夕の2回、ここで勤行(お勤め)をされるそうです。そんな大雄寶殿の正面に設けられた小ぶりの扉には……

ぷりっと可愛い桃の紋様が刻まれています。今なお厳かな修行道場としてあり続ける萬福寺とはミスマッチな気がしますが、桃は魔除けの意味を持つ中国由来の吉祥文様。

日本でも、鬼退治で有名なのは「桃」太郎、イザナミに追いかけられたイザナギが投げつけたのも「桃」ですもんね。勤行の際は、悪しきものを退散させるため、勢いよく開け放たれるそうです。

「闇の眷属」ではなく「福を呼ぶ使者」

賣茶堂と売茶翁の顕彰碑

境内の片隅には売茶翁(ばいさおう・まいさおう)を祀る賣茶堂があります。売茶翁はもともと黄檗宗のお坊さんで、後に京都の東山に「通仙亭」という茶亭を開き、煎茶の普及に貢献した方。

還俗してからは高遊外(こうゆうがい)と名乗りました。賣茶堂は布袋さんが鎮座する天王殿に向かって右側、白塀に囲まれた一角にひっそりと佇んでいるのですが、その扉を見てみると……

蝙蝠(こうもり)の透かし彫りが施されていました。蝙蝠といえば、一般的に吸血鬼・不気味・オカルト・ホラーなどのネガティブなイメージがありますが、実はこれもれっきとした吉祥紋様!

中国語では蝙蝠の「蝙」の音が「福」と同音であるため、福を呼ぶシンボルとされてきたんです。そう聞くと、丸みを帯びたフォルムが可愛く思えてきますよね。

境内にひそむ伝説の生き物たち

聖域を守る水辺の覇者

萬福寺の境内には、2種類の伝説の生き物がひそんでいるのをご存知ですか?まず、注目して欲しいのは、こちら!総門です。


総門は中央の屋根を高く、左右を一段低くした中国式の「牌楼」と呼ばれる様式です。漂うその中華感に目を奪われがちですが、ぜひ屋根の上を見てみてください。四隅に乗っているのは、シャチホコ……ではない!足が生えています!

これはガンジス河に生息するワニで、女神の乗り物とされる「摩伽羅(まから)」。ワニは水辺の動物の中で一番強い!ということで、アジアでは聖域の結界となる門や仏像の装飾などに摩伽羅が使われるのだそうです。

境内全域に長い体を横たえる

(左)大雄寶殿の軒下、(右)境内にのびる参道

禅宗寺院でしばしば目にする伝説の生き物といえば「龍」。法堂の天井によく大きな姿で描かれていますよね。しかし、ここ萬福寺の龍はもっとビッグサイズ!

なんと境内全体で表現されているんです。摩伽羅がいる総門が喉、門前にある二つの「龍目井」が目。縁石で挟まれた参道のひし形の石が背のウロコを、蛇腹天井と呼ばれる大雄寶殿や法堂などの軒下はお腹を表すのだとか!大陸的なスケールの大きさにビックリです。

布袋さんと並ぶ萬福寺の人気者・開梆

行事や儀式の刻限を告げる木魚の原形

ガイドブックやWebで萬福寺が紹介される際、必ずと言っていいほど登場するのがこちら。斎堂(食堂)前に吊るされた大きな木製の魚・開梆(かいぱん)です。

開梆は魚梆(ぎょほう)とも呼ばれる木魚の原形。日常の行事や儀式の際、雲水さんがバットのような木の棒でお腹を叩き、その音で境内全域に刻限を告げます。

ちょっぴりユーモラスな表情で、参拝者から人気を集めているのですが、実は、この開梆には深〜い意味があるんですよ。

魚の形である意味は?口にくわえている玉は?

——そもそもなぜ魚の形なのか?

その理由は、魚は寝る時も目を閉じないから。つまり不眠不休の象徴であり、叩くことで「魚のように昼夜の別なく寝る間を惜しんで、日夜修行に励むように」と、怠惰を戒めているそうです。改めてアップで見ると、何だか目ヂカラがすごい気がします……。

——口にくわえている玉は何なのか?

この玉は、仏教でいう三つの煩悩「三毒(さんぬ)」の塊なんです。その煩悩とは、「貪(とん)=むさぼり・必要以上に求める心」、「瞋(じん)=怒り」、「痴(ち)=愚痴をこぼすこと」。

開梆はこの玉を吐き出そうと努めている姿であり、雲水さんは吐き出しやすいようにお腹を打ち、またその時に自らの心も戒めるそうです。ただ時を告げるだけのものじゃないんですね。

内容によって使い分けされている鳴らし物

(上)斎堂前にある雲版、(下)法堂前の巡照板

萬福寺には、開梆以外にも時を告げる鳴らし物があります。開梆と同じく斎堂前に吊るされている雲版(うんぱん)は、朝・昼の食事と朝課(朝の勤行)の時に打つもの。

法堂前をはじめ境内の5カ所に設置されている巡照板(じゅんしょうばん)は、各所に詰める役僧の起床・就寝を告げるため、朝4時半と午後9時過ぎ(!!)に各寮舎を回りながら打ち鳴らされるそうです。


ほかにもいろんなものが中国風!

まるで音楽のようなお経

開山忌の様子

黄檗宗のお経は、隠元さんの時代からずっと、唐音と呼ばれる中国語で読まれています。特に「梵唄(ぼんばい)」と呼ばれるお経は、鐘や太鼓などの鳴り物が一定のリズムを刻み、節をつけて誦まれとっても音楽的。

天台宗や真言宗などで唱えられる声明とはまた違った趣があるんですよ。この梵唄は、毎月3日に開山堂で行われる「開山忌」などで聞くことができるので、気になる方はそのタイミングでぜひお参りを。

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