復興の象徴。ドイツの古都「ドレスデン」の復旧建築をめぐる旅
これが瓦礫の山だった?フラウエン教会は世界一のジグソーパズル?
マルティン・ルター像の建つノイマルクト広場には、ひと際目立つ「フラウエン教会(聖母教会)」があります。18世紀に建てられたプロテスタントの教会は、第二次世界大戦時1945年2月の空爆で焼損し、爆撃の翌日に崩壊。瓦礫の山と化してしまいました。
驚くことに、東ドイツ時代には瓦礫のまま放置されていましたが、東西ドイツ統一後の1994年にようやく再建工事が開始。当時の素材を推定して使用したり、壊れた個所や建材を再利用したりと、世界最大のジグソーパズルといわれた難関工事は、2005年にようやく完成しました。
ドーム上にあった十字架は、現在は教会内部に展示されていて、内部に飾られているのはイギリスから贈られたものだそうです。世界中から、特にドレスデンを空爆した連合国からの多大な寄付によって再建されたフラウエン教会は、「破壊は一瞬、復興には時間もお金もかかる」という教訓をこめて、「平和の象徴」とされています。
アンペルマンだけではなくアンペルフラウもいる街
東ドイツ時代に、信号機に使われていた「アンペルマン」は、今では旧西ドイツの都市にも広がり、人気のキャラクターにもなっています。
実は女性版の「アンペルフラウ」の信号機もあるんです。ベルリンでは探すことができなかったのですが、調べてみるとこのドレスデンでは健在だとか…!
筆者が見つけた際、アルトマルクト脇の信号機はアンペルフラウでした。まるで「止まれっ!」と静止していたり、大きく手を振って「進めっ!」と合図しているようで、なんだかかわいいですね。
アンペルマンのグッズが買える、アンペルマンショップでも、アンペルフラウは「止まれ」のポーズのものしか取り扱いがないようなので、「進め」の絵柄は貴重かもしれませんよ。
バロック建築の最高峰「ツヴィンガー宮殿」
18世紀前半に、ザクセン王フリードリッヒ・アウグスト1世によって建造された、バロック建築の最高峰といわれる「ツヴィンガー宮殿」もまた、威風堂々たる建物です。
現在は博物館や美術館になっていて、アルテ・マイスター絵画館や陶磁器コレクション、数学・物理博物館などが併設されています。また花の咲き乱れる庭園が美しいので、ぜひここでしばし中世の時代にタイムスリップしてみてください。
ドイツの首都ベルリンからも、チェコの首都プラハからも鉄道で約2時間くらいの距離にあるドレスデン。美しいマイセンタイルの壁画、ジグソーパズルを根気よく完成させたフラウエン教会だけではなく、ほぼ壊滅状態で瓦礫の山だったところから、ここまで見事に復興し、中世の時代に逆戻りしたかのような景色を取り戻しています。
近くには磁器の街マイセンもありますので、あわせてぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
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