お土産の切り札に。ノスタルジックに魅せられる富山「ケロリン桶」

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2019/09/28

旅行に出かけたときに、お土産を何にしようかと迷う場面も少なくないと思います。とりあえず定番は外したくないけれど、定番すぎるお土産もセンスがないようで避けたい場合もありますよね。

そこで今回は、ど定番でありながら笑顔で喜ばれる可能性も高いユニークなお土産、全国のスーパー銭湯や温泉などでも見かける、ちょっぴりノスタルジックな富山の「ケロリン桶」を紹介します。

250万個売れた風呂おけ

富山県内の主要な土産物屋で販売されるケロリン桶 image by:坂本正敬

いままで、スーパー銭湯や銭湯、温泉などの洗い場で、黄色い頑丈な風呂おけを見かけた経験がありませんか?

桶の底には「ケロリン」の赤いインク文字が埋め込まれ、緑色で頭痛や生理痛、歯痛、内外薬品と印刷されています。映画『テルマエ・ロマエ』(東宝系)でも主演の阿部寛が股(こ)間を隠す際に手に持っていました。

いまではすっかり公衆浴場の定番アイテムといった感じですが、もともとは富山の製薬会社が自社製品の宣伝を目的として、非ピリン系鎮痛薬『ケロリン』の広告を風呂おけに出稿したところから歴史が始まります。

鎮痛薬ケロリンは現在も、薬で有名な富山にある「富山めぐみ製薬」から販売されていますが、もともとは同社の母体の1つである内外薬品の商品でした。内外薬品が広告主として広告代理店の依頼を受け、1963(昭和38)年に陸和商事の風呂おけに広告を出稿して、日の目を見たのです。

image by:富山めぐみ製薬

内外薬品と陸和商事のチャレンジは、狙い通りの成果を達成します。当時、公衆浴場で使われていた風呂おけは木製で、衛生的な問題が指摘されていました。

陸和商事は内外薬品から広告の出稿を受けた分だけ価格を抑え、プラスチック製のおけを全国の公衆浴場に売り込み始めます。

その結果、東京駅八重洲口にある東京温泉を皮切りに、全国の公衆浴場で使用され始めていきました。


「永久桶」の呼び名にふさわしいクオリティーの高さにも注目

ケロリン桶を手に取ってみればわかる通り、おけ自体のクオリティーも極めて高いです。

技術力に優れた関東プラスチック工業(群馬)が一貫して手掛ける肉厚の合成樹脂の風呂おけは、確かな強度と重みがあり、その耐久性も全国の公衆浴場に導入される後押しとなりました。

<ケロリン桶は、驚異的な強さから、別名「永久桶」とも呼ばれています>(富山めぐみ製薬のホームページより引用)

おけの販売会社である陸和商事が経営破たんするなど歴史の過程ではトラブルもありましたが、ケロリン桶の宣伝効果を高く評価した内外薬品が、おけの販売と配布を引き継ぎます。

今では内外薬品が富山県内の他社と富山めぐみ製薬を設立し、同社が事業を継承しました。こうした歴史のなかで、ケロリン桶現在までに250万個の納入実績を残してきたのです。

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