そんなことあり得る?アメリカで話題のビーフゼロのハンバーガー

Array
2019/11/01

「Impossible Burger」は何が違うか?

image by:角谷剛

今までにもベジタリアン用のハンバーガーというものはありましたが、それらは通常のハンバーガーとは味が大きく異なりました。特に味を似せようとする努力をしていなかったのかもしれません。しかし「Impossible Burger」の際立った特徴は何といっても味がまったくビーフそのままだということです。

2016年に「Impossible Burger」が初めて登場した当初は値段が比較的高めのレストランやバーガーショップだけでしか食べられませんでしたが、2019年4月にバーガーキングのメニューに加えられたことで、一気に知名度を高めました。

バーガーキングはマクドナルドに次いで、全米で約7,000店を越える店舗数を誇る大手チェーンです。その最人気メニュー「Whopper(ワッパー)」のパティ部分を変更した「Impossible Whopper(インポッシブル・ワッパー)」が店内で売られています。

謳い文句は「100%ワッパー、だけどビーフ0%」です。このメニューの人気は高く、発売直後は瞬く間に品切れ状態にまでなりました。

「Impossible Whopper」image by:角谷剛

実際に食べてみますと、本当にワッパーそのものです。包み紙にそう書いていなければ、絶対に通常のワッパーと区別がつかないだろうな、と違いの分からない男を自認する私自身はそう思いました。

スーパーでは個数制限があるほどの人気

「Gelson’s Markets」の店舗前image by:角谷剛

さらに真空パック入りの商品が主に高級食品マーケットで売られています。そのうちのひとつ、南カリフォルニアで27店舗を展開するスーパー「Gelson’s Markets(ゲルソンズマーケット)」は2019年9月から同製品の販売を始めました。

こちらも反響は大きく、1カ月後には同チェーンで最も売れている真空パック食品になったそうです。私の近所にある店舗では、現在も1人につき10パックまでの販売となっています。

店内の食品棚。値段はやや高め。image by:角谷剛

お店で買うハンバーガーはパティをパンやレタスで挟んでいますし、ケチャップやマスタードなどの味付けもあります。ですから味を似せるのはそれほど難しくないのかもしれません。

フライパンで焼いているところ。通常のハンバーグと見分けはつかない。image by:角谷剛

写真のようにただフライパンで焼いただけで食べると、微妙な味の違いを感じる人もなかにはいるかもしれません。


私自身は区別がつかない自信(?)がありますし、もし今日からビーフ・ハンバーグをやめて「Impossible Burger」に切り換えろといわれても特に困りません。取り立てて美味というわけではないが、決して不味くはない。それが正直な感想です。

いったい何から作られているの?

image by:Steve Heap / Shutterstock.com

見た目も味もビーフにそっくり。製造会社が主張するように環境にも優しい。それでは「Impossible Burger」は本当に健康にいいの?という疑問も当然浮かんでくるのですが、これについては異論もあるようです。

栄養成分表によるとタンパク質として大豆を使い、さらにビーフのようなジューシーさを出すためにココナッツ油やヒマワリ油などを足しています。その結果、同量のひき肉と比べると、タンパク質の含有量が少なく、飽和脂肪分が多くなっています。さらには本来のビーフには無いはずの炭水化物も入っています。

もちろん、飽和脂肪分も炭水化物も全体カロリーも他のジャンクフードに比べたらはるかに少ない量なのですが、例えばオーガニックの自然食品よりヘルシーかと問えば、必ずしもそうだとは言い切れないようです。少なくともダイエット効果はさほど高くはないでしょう。

早い話、「Impossible Burger」を食べたからといって、必ず痩せるとは限りません。それにまさかこのパティだけで食事を済ませる人はいないでしょうから、同製品と一緒に何を食べるかがダイエットや健康に関しては重要になるのではないでしょうか。

image by:角谷剛

栄養成分表

水、大豆タンパク質濃縮物、ココナッツ油、ヒマワリ油、天然香料、2%以下:ジャガイモタンパク質、メチルセルロース、酵母エキス、培養デキストロース、食品澱粉変性、大豆レグヘモグロビン、塩、大豆タンパク質分離物、混合トコフェロール(ビタミンE )、グルコン酸亜鉛、塩酸チアミン(ビタミンB1)、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)、ナイアシン、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、ビタミンB12。


アジア諸国でも広がりをみせている

アメリカで急成長を続ける「Impossible Burger」ですが、海外へも販売を広げています。現在のところ、アジアでは香港、シンガポール、マカオにも取り扱っているレストランがあるとのことですので、近い将来には日本にも登場するかもしれません。

もし海外旅行で同商品を見かけたら試してみてはどうでしょうか。下の公式ウェブサイトでメニューから「Find」をクリックすると、最寄りの取り扱いレストランが探せるようになっています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

Impossible Foods 公式サイト:https://impossiblefoods.com/

  • image by:角谷剛
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
いま読まれてます

角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

エアトリ 憧れの北欧。デンマーク・コペンハーゲンで暮らすように旅をする
そんなことあり得る?アメリカで話題のビーフゼロのハンバーガー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます