日本で食べたあのご飯が忘れられない…外国人が懐かしくなる「おふくろの味」
苦手だったけど、いまでは「ぬか漬け」が好き/欧米出身
以前、取材でオーストラリア出身のシェフに話を聞いたとき、コンカイワシ(米糠イワシ)という魚の「ぬか漬け」に衝撃を受け、自分で大量につくり、自身の料理に生かすようになったという人がいました。
ここまでの人は特別かもしれませんが、これほど大規模ではなくても、日本在住で自分のぬか床を持ち、ぬか漬けをつくるアメリカ人のライターも筆者は知っています。
最初は、どうしても漬物全般が苦手だったそう。しかし、日本に暮らす期間が長くなるにつれて、味覚が慣れてきたのか、漬物のおいしさが分かるようになり、そのうち自分でもつくるようになったといいます。
どうしておふくろの味として思い浮かぶのかと聞けば、
「ぬか床は昔、どこの家にもあったと聞きますし、ぬか漬けは一家でお母さんが担当すると聞きました。ならば、やはり代表的なおふくろの味なのではないでしょうか」
といいます。ただ、一般財団法人ベターホーム協会(東京都)が行った「現代女性とぬか漬け」(2011年)によれば、ぬか漬けを現在も漬けている人は10.0%となっています。
特に、若い世代の20代では、現在漬けている人の割合が2.8%と極めて少数派だと分かります。その意味で、ぬか漬けに関しては、おふくろの味として伝承に大きな問題を抱えているといえるかもしれません。
実用日本語表現辞典によれば、おふくろの味とは、
<母親が作った料理、それを食べて育った郷愁を感じさせる家庭料理を指す語。郷土料理の意味合いで用いられることもある>(『実用日本語表現辞典』より引用)
とあります。家庭内でつくられないのであれば、おふくろの味にはならないと考えられます。
2016年に行われた、不動産情報サイトのアットホームのアンケート調査(全国20〜59歳の男女1,410名を対象)によれば、一部でぬか漬けをつくる若い男性が増えてきているという情報もありますが、ぬか漬けを作る人が減っているという状況は依然として厳しいといえそうですね。