新型コロナで窮地に立つ映画館を、街を支える。京都「出町座のソコ」の挑戦

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2020/05/30

ここは映画館?絶品のフードがズラリ

残念ながら、取材日4月27日(月)は新型コロナウイルスのあおりをうけ、映画は上映を休止(2020年5月22日金曜日より上映を再開)。その間、出町座を訪れる人々を迎えていたのが、カフェ「出町座のソコ」。

image by:倉本あかり

扉はどーんと大胆に開かれ、換気はバツグン。カウンター式のカフェは映画の受付や書店との厳密な隔たりがないため、広々とした印象を受けます。映画の情報や書籍に囲まれ、とても知的な雰囲気。

映画を観る前においしい料理で腹ごしらえをしたり、映画を観終わったあとで感想を語りあったり、買った本を読んだり、たとえ映画を観る時間がなくても次回作などをチェックしながらコーヒーが楽しめたりと、有意義なひとときが過ごせます。

とりわけ目を奪われるのが、カウンターにずらりと並んだフード。自家製のラスクやハーブティ、焼き菓子などなど多種多彩。

手作り味噌まで!フードやドリンクはすべてテイクアウトOK

「お客さんからは『カフェというより、道の駅みたいやね』とよくいわれます。手作りの味噌や塩こうじまで売っていますしね」

そう語るのは店長の築地静香さん(31)。劇団「努力クラブ」の制作者であり、かつこちらでは調理を担っています。

映画館の建物の中で手作りの味噌や塩こうじを購入できる。
カフェ「出町座のソコ」店長の築地静香さん。提供する料理のレシピは彼女の考案。ほとんどのフードを彼女が手作りする。

築地静香さん(以下・築地)「映画館のなかにカフェがオープンするというニュースを聞いて、電話したんです。『バイトさせてほしい』って。するとオーナーが『じゃ、店長でお願いします』というんです。『えー!いきなり店長ですか!?』。もう驚きましたよ」

バイトのつもりで応募したら、まさかの店長に。まるでコメディ映画のような急展開。それにしても、演劇界の人が、どうして料理を?


築地「演劇の現場で、まかないも担当していたんです。役者さんたちのために『身体にやさしい、お腹にやさしいものがいいな』『スタミナがつくけれど、あんまり脂っぽくないほうがいいかな』と、いろいろ考えるうちに、おいしいといってくれる人が増えてきて。イベントのケータリングなどにも呼ばれるようになっていったんです」

バイトで応募したら、いきなり店長を任されたという。

「出町座のソコ」で提供される軽食やドリンクは、オープン当初から、すべてがテイクアウト可能。Uber Eats(ウーバーイーツ)にも加盟しています。

日替わりランチ、特製スパイスカレーライス、生野菜とピクルスと柴漬けをはさんだ驚きの「3種のきゅうりサンドウイッチ」などなど、築地さんがレシピを考案したオリジナルメニューを堪能できるのです。

生、ピクルス、柴漬けがはさみこまれた「3種のきゅうりのサンドウイッチ」が人気。ほとんどのメニューがテイクアウト、館内飲食、ウーバーイーツに対応している。

商店街の新鮮食材がフードメニューに

素材の仕入れ先は、本拠地である目の前の出町桝形商店街。

築地「私は商店街があるこの出町柳が大好きなんです。ここは本当にヤバい。冷蔵庫が目の前にあるような場所で、最高です。

パンは商店街の入り口にある『ボナペティ』さん製のめちゃめちゃおいしい熟成食パンを使っていますし、メンチカツは『岡田商会』っていう精肉店さんから仕入れています。

揚げ物が絶品で、行列が絶えない名店なんです。なので基本的には『すべて商店街でそろうものだけでつくろうぜ!』っていうのが、うちの特徴かな」

フレッシュ食材が徒歩圏内で手に入る絶好な環境。食材を使い切ってもすぐに買いに行けるため、食品ロスがないのだそう。

生鮮食品がすぐに手に入る「出町桝形商店街が大好きだ」という築地さん。

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