アルプスの自然に抱かれ…信州・白骨温泉で旅人を待つ、最高の温泉宿

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2022/09/09

多くの温泉を体験してきた筆者が、何度行っても心から“極楽”と思う温泉のひとつに、長野県の「白骨温泉」があります。泉質の素晴らしさは、もちろん超のつくお墨付き。

細い山道を抜けた先に現れる白骨温泉の集落。この奥に温泉宿が建ち並びます。image by:小林繭

加えて、雄大な北アルプスの山々のはざまにぽっかりとあらわれる小さな温泉郷の佇まいがなんともポエティックで、その姿は子どものころに見ていた『まんが日本昔話』の世界そのもの。

夏に冬にと、車を走らせ訪ねているお気に入りの温泉地であります。そんな愛すべき白骨温泉から、今回は私のお気に入りの宿「小梨の湯 笹屋」を紹介したいと思います。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

疲れた旅人を癒す、山奥の離れの一軒宿「小梨の湯 笹屋」

「小梨の湯 笹屋」の内湯へと続く廊下。夏はひんやりと涼しく湯上がりに佇むのが気持ちよさそう。image by:小林繭

小梨の湯 笹屋」は、わずか全10室のこぢんまりとした小さな宿。古民家を移築したというその建物は、立派な梁が美しい食事処や客室から浴室をつなぐ土間の回廊など空間使いにセンスを感じる造りで、小さな宿ながら滞在に退屈することはありません。

湯上がりタイムは、窓の外に広がる自然が楽しめる「広縁」でのんびり。image by:小林繭

山奥にある白骨温泉の、さらにその奥に位置する“離れの一軒宿”というのも旅心をくすぐるもの。

現在は新型コロナ対応としてチェックイン時にすでに布団がひかれているので、一風呂浴びたら即お昼寝が叶います!image by:小林繭

ひたすら温泉を愛でるために逗留するのに相応しく、自然豊かな静かな温泉宿が好みの方にとっては願ったり叶ったりのロケーションなのです。

プロの仕事を通じ、心まで温まる最高の湯

白骨の湯は古くより「3日入れば3年風邪をひかない」と伝わることから、その効能の高さについてはよく知られるところ。

それぞれの宿が源泉を所有し、それぞれに異なる湯で旅人を迎えてくれるのがこの温泉地の最大の魅力です。

女性用内湯「姫の湯」。大きなガラス窓でたっぷりと自然を愛でられるようデザインされています。image by:小林繭
真の前に広がるのは白樺の森。冬は真っ白に彩られた銀世界、夏は美しい緑の風景を楽しむことができます。image by:小林繭


自家源泉である「小梨の湯 笹屋」の湯は、含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉。白骨の湯の中でも硫黄分が高く、やわらかな肌触りが特徴です。

貸切露天の入り口は母家から一度外に出た場所に。扉の先に続く階段を登っていくと静寂を愉しむ情緒あふれる露天が待っています。image by:小林繭
無料貸切露天「小梨の湯」では白骨の情緒にひたりながら、極上湯を堪能。image by:小林繭

宿には男女別の内湯と離れの露天湯があり、同じ源泉ながら温度や湯量の差で異なる質感が楽しめます。露天は30分貸切りでの利用となり(もちろん無料!)、予約制ではなく、使用時に自分で札を「使用中」にすればOKの、空いていればいつでも何度でも入れる形態です。

この貸切り露天「小梨の湯」が実に風光明媚!自然の中にこんこんと湧き出でる白濁の湯野天を絵に描いたようで、誰もいない自然の湯を独り占め!を楽しめる場所。

白骨の名の由来ともされる、湯の成分(石灰分)が蓄積されて描く白い文様。image by:小林繭

何より感動したのが、この露天の湯の適温具合!私が訪れたときは雪が降り積もる真冬だったので、露天の湯加減は重大です。というのも、服を脱いですぐにチャポンと湯船に肩まで浸かれる絶妙さ加減が必要とされるから。

どんなに素晴らしい泉質であっても熱すぎてなかなか入れないのはいけないし、といっても真冬にぬる湯というのも言語道断。

過去に、真冬ににごり湯で有名な某温泉旅館の露天がぬるすぎて入ったはいいけれど寒くて寒くて上がれないという泣きたくなる体験があるだけに、湯温チェックには敏感なのです。

新鮮&天然、地球の恵みの源泉を好きなだけいただけるという贅沢。image by:小林繭

どんなに素晴らしい源泉をうたったところで、お湯の管理がしっかりできていなければ元も子もなく、せっかくの名湯が台無しです。そういった意味でこちらの「小梨の湯」は満点

季節やその日のコンディションに合わせ、ちゃんと手間をかけ源泉を一番良い状態に調整してくれていることがわかります。

当然の対応と思っているかもしれませんが、多くの施設は適温に湯を沸かしたり加水することで調節しています。源泉掛け流しを楽しんでもらうため、できるだけ源泉そのままで適温キープというのはプロ中のプロの仕事なんです。

そんなところに客人をもてなそうとする心意気がずしずしと伝わってきて、身体はもちろん、ココロまでほっこり温かくなるのが、温泉の素敵なところでもありますね。

腕利きの湯守の存在に加え、湯上がり処の冷蔵庫にはお茶やジュースに加え、缶ビールなどのアルコール類も用意されていて(私はあとでにとっておこうと思ったら、ビールがなくなってしまっていました。残念!)、気が効いてるよねという感じ。

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