実は海外より緩い? なぜ日本の空港の「保安検査」でトラブルが起こるのか

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2022/06/10

最新「スマートセキュリティ」で保安検査がよりスムーズに

日本の空港には保安検査を行うための検査機器が、必ず1つは設置されています。しかしその検査機器が必ず最新とは限りません。また、人間が機械を通して目視で確認するため、100%完璧とはいえないのが実情です。

検査機器は、以前は「X線」が主流でした。いまもほとんどの空港では、この検査機器です。

しかしながら、羽田や成田、伊丹、関西などの空港で、新型の保安検査装置「X線CT検査装置」が導入されています。一般的に「スマートセキュリティ」とも呼ばれているものです。

最新の保安検査「スマートセキュリティ」image by:Shutterstock.com

「X線検査」と「X線CT検査」の違いは、手荷物を三次元画像で検査できるため、通常はPCなどを取り出す必要があったところ、カバンにそのまま入れた状態で検査が可能です。

しかも、1レーンにつき、3~4カ所の個別準備台があり、準備が完了した乗客から先に進めるため、1人ずつ並ぶより待ち時間を短縮できます。

筆者もすでに何度も「スマートセキュリティ」での保安検査を受けたことがあります。

以前の保安検査よりもカバンからPCなどを取り出す手間を省ける、順番を抜かすこともできるため、検査はいたってスムーズです。

カバンの奥底から取り出し忘れていた液体物を発見する精度なども、確実に上がっている気がします。

海外での保安検査、命令口調の保安員とペットボトル没収

海外の空港でももれなく、保安検査は実施されます。ただ、日本と異なる点も少なくありません。


例えば、アメリカの空港では必ず「靴を脱ぐ」ことが徹底されます。日本もたまにブーツなど丈がやや長い靴だと脱ぐように指示されますが、アメリカではスニーカーでもスリッパでも脱がないといけません。

しかも日本にあるようなスリッパも一切なし。全員、靴下または素足で検査を通過します。靴に麻薬などが入っているのを見つけるためでしょう。

image by:Shutterstock.com

また、液体の入った「ペットボトル」は国内線であっても保安検査で没収されます。

日本では、ペットボトルの中身の検査があった後に機内へも持ち込み可能ですが、海外では一切不可。持ち込めるのは赤ちゃんの哺乳瓶に入ったミルクのみです。

保安員も、公務員だったり空港職員だったりとさまざま。国によっては、大きな銃を手にした兵士が近くに立っていることも。

再検査になると、カバンの隅々まで念入りに調べられます。日本のような丁寧な言葉遣いはなく、常に命令口調。当然ながら必ず従わないといけません。

アメリカ入国の際、搭乗券に「SSSS」が印字されると、さらに厳しい保安検査を受けなければいけません。「SSSS」が印字されるのはFBI(連邦捜査局)の要注意人物らが該当しますが、一般客もランダムで指定されます。

筆者も一度体験しましたが、「SSSS」の文字を見た瞬間に保安員の表情が一変。カバンから全部取り出し、1点ずつ保安検査の機械に通して細かくチェックされました。

空港によって保安検査の基準が実はバラバラ?

保安検査日本国内に限っても、空港またはターミナルによって、なんとなく「差」があることも事実です。

例えば、カメラ機材が再検査となった空港では、同じ空港でも別のターミナルだとそのまま通過できたことなど、何度も経験してきました。結局のところ、保安員や検査会社の差、検査機器の差ではないかと、国内外の多数の空港を利用してきた筆者は感じます。

最後は「人間が確認する」ため、誤差が生じるのは致し方ないところ。

ただ、刃物のような危険物がそのまま通過してしまうのは大問題。その後、出発便の欠航や大幅遅延など影響も大きいため、検査チェックは徹底してほしいところです。

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ジャーナリスト・フォトグラファー。飛行機・空港、旅行、ホテル、グルメなどをメインに、国内外で取材、撮影などを行う。雑誌やWEB向けの記事、写真や旅行などのセミナー講師も務める。元全国紙記者。大阪在住。

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