日本の「マスク警察」はぬるい?新型コロナ対応、海外との違い
新型コロナウイルスをキッカケに顕著になったこと、そのひとつが、日本が欧米をはじめとする海外の各国・地域と比べ「いろいろ異なる」ことではないでしょうか。新型コロナ対策を例にとっても、マスク着用、規制の有無、入国規制の厳格さと緩さなどが挙げられます。
ヨーロッパでは2022年春以降、マスク着用義務が次々と撤廃され、入国規制もどんどん緩和されています。日本もいずれその日が来るでしょうが、時間がまだ相当かかりそうです。今回はヨーロッパから見た、ヨーロッパと異なる日本の新型コロナ対応、そのあれこれを紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
日本人はいつ何時もずっとマスクを着けている
新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、世界中であらゆる人々が「マスク」を着用し始めました。もともと海外では、マスクを着ける習慣はほとんどありません。
しかしコロナ禍においては感染拡大を防ぐ意味で着用しないわけにいかず、しかも大半の国々では「義務」という形で、しかも「着用しないと罰金」という制度まで次々と設けられました。
ただ、海外では感染がピークアウトし、着用義務がなくなった途端、ほとんどの人がマスクを着用するのを止めました。それだけマスクを着けることにずっと抵抗があり、結局マスクに慣れることはなかったのです。
一方、日本では、花粉症の時期や風邪を引いた際など、普段からマスクを着ける人々が少なからずいます。そして、新型コロナの感染が収束し始めても、たとえ人が少ない場所でも、日本人はずっとマスクを着けています。
一時期、マスクがズレている、マスクを着用していない人に対して注意する「マスク警察」という言葉もありました。日本にある、マスクをなんとなく着けていないといけない空気こそ、日本独特といえるでしょう。「世界中で、最後までマスクを律儀に着け続けていそうな日本人」との声も、ヨーロッパで実際に聞きました。
「罰金がない」日本はコロナへの規制が圧倒的にゆるい
海外では、例えば鉄道やバスなどの公共交通機関、駅や空港といった公共施設の内部では、マスク着用は義務であり、違反すると罰金というルールが取られた国もありました。欧米では野外ではマスクを一切していない場所、きっちりマスクをする場所と、まるで白黒がはっきり分かれたような光景も見られます。
しかも、もしマスクを着用し忘れていたら、スタッフや周りの人々から容赦なく「WEAR THE MASK!(マスクを着けろ!)」と命令形で注意されます。
一方、日本では緊急事態宣言が出てもマスク着用は義務ではなく、あくまで推奨やお願いのレベル。罰金制度もありません。
普段からマスクを着用する日本人は多く、お願いされなくても大半の人々はマスクをしているなかで、しかるべき理由もないのにマスクを頑として着用しない人もいて、しばしばニュースになる事態も起きています。
実際にマスクの着用をめぐって揉め、飛行機の便が何時間も遅れた事件もニュースで大きく報道されました。(参考:朝日新聞デジタル、中國新聞デジタル)
日本で問題が起きるのは、マスクの着用有無というよりも「規制がゆるい」ことが理由でしょう。なにより、日本ではいくら感染者数が増えても、欧米のように「ロックダウン(都市封鎖)」が行われませんでした。
ロックダウンするとほかの都市に移動するのも無理で、旅行など到底できません。日本では緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などの対応が取られたものの、その期間に移動、旅行をしたとしても強制力はなし。あったのは「なんとなく旅行がしづらい空気」というあいまいなものだけだった気がしないでもありません。