アメリカではありえない!外国人がWBCを観て日本にショックを受けたこと

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2023/03/25

称賛された日本野球ファンの思いやりとおもてなし

image by:MNAphotography/Shutterstock.com

野茂英雄氏、イチロー氏、そして大谷翔平選手と球史に残るスーパースターを続々と輩出したことで、日本で非常にレベルの高いプロ野球が行われていることはアメリカの野球ファンの間でもよく知られています。

しかし、実際に日本で行われている野球の試合をリアルタイムで見たことがある人はそれほど多くはありません。WBCはその格好の機会になったことでしょう。

日本代表チームが前評判通りの強さで連勝を重ね、アナウンサーたちも最初は奇異に映った応援スタイルに目や耳が慣れてくると、東京ドームの観客を褒めたたえるコメントが目立ってきました。

大谷選手が打ったホームランボールを拾った女性が、そのボールを周りの観客に回し、そしてそのボールが無事に持ち主の元に返ってきたことは、大きな驚きを持って報じられました。

メジャーリーグの球場ではホームランボールは観客同士の奪い合いになることが普通だからです。誰かの手に渡ったボールにオークションで高値が付くことも珍しくありません。

セントルイス・カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手が、あっという間に人気者になっていたこともアメリカで好意的に報じられました。

日本生まれ以外の選手としては史上初めて日本代表チーム入りをはたしたヌートバー選手は、アメリカではさほど知名度の高い選手ではなかったからです。

2021年にメジャーリーグに昇格を果たし、レギュラーに定着したのは2022年のこと。現在ではという但し書きがつきますが、たとえばオールスターの候補に名前が挙がるような選手ではありません。

地元セントルイスを除いて、WBC前にヌートバー選手の名前を覚えていたメジャーリーグのファンは多くはなかったはずです。


高校野球で物議を醸したこともあって、すっかり有名になった「ペッパーミル」のパフォーマンスも、確かに昨年からカージナルスの試合では見られていました。

しかし、WBCの東京ドームで初めてそれを見たというアメリカ人の方が圧倒的に多いでしょう。

アメリカ代表チームの試合は、東京ドームより一足遅れて3月11日に開幕します。

それに先立って行われた記者会見で、カージナルスのチームメイトでもある何人かのアメリカ代表選手が、ヌートバー選手が日本のファンに受け入れられていることを喜ぶコメントをしていたのが印象的でした。

日本だけではないWBCの人気

過去のWBCでのイチロー選手。image by:Alan C. Heison/Shutterstock.com

日本国内ではWBC第1ラウンドのテレビ視聴率はすべて40%を越え、準々決勝のイタリア戦では48%だったことも、アメリカ人にとっては大きな驚きでした。

なぜなら、野球最高峰の戦いであるはずのワールドシリーズでさえ、アメリカ国内における視聴率はせいぜい10%に届くか届かないかくらいだからです。

アメリカ最大のスポーツイベントであるNFLスーパーボウルでも視聴率は40%くらいです。それを越える数字がWBCの第1ラウンドで連日出ているというニュースは驚異的以外の何ものでもありませんでした。

そして、この現象は日本だけで起きているわけではありません。MLB公式サイトの発表によると、今年のWBC第1ラウンドは前大会のほぼ2倍となる100万人を越える観客を動員しました。

準々決勝では惜しくもベネズエラに敗退したプエルトリコは、その前の第1ラウンドでは優勝候補筆頭に挙げられていたドミニカ共和国を撃破しました。その試合のテレビ視聴率はなんと62%だったそうです。

image by:image_vulture/Shutterstock.com

WBCにこれほど夢中なのは日本だけだ、という冷めた意見もかつてはありました。WBCは真剣勝負ではなく、無意味なエキシビションに過ぎないという見方もありました。いまでもそのような意見を述べる評論家がいることも事実です。

それでも、今年のWBCは真の意味で野球界最高峰のイベントに変貌しつつあることを予感させるものでした。次の大会は3年後。いまから楽しみです。

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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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