中国の「監視社会」がこんなところにも…日本人が思わず驚く中国の当たり前
戸籍によって格差が生まれる
日本では場合によって、諸々の手続きの際に「戸籍」の証明書が必要になります。
もちろん日本でも何らかの事情で出生の届け出がされなかった無戸籍の方もいますが、人生を決定的に左右する力は持っていません。
日本では若い人の場合は特にパスポートを取得する際、あるいは結婚する際にお世話になる程度ではないでしょうか。現代では廃止論すらあるくらいです。
しかし、中国の場合は異なります。戸籍には、膨大な種類があり、その違いによって、就職の可否にも社会保障の有無にも移動の自由にも、大きな影響力を持っているのです。
中国の戸籍を大まかに分類すると、「都市戸籍(非農業家庭戸)」と「農村戸籍(農業家庭戸)」に分かれます。
この違いが設定された時期は1958(昭和33)年。都市部に集中する人口の流れを食い止め、都市部に暮らす人たちの暮らしや仕事を守るために設けられた制度でした。
仮に出稼ぎで、農村戸籍を持つ中国人が都市部に出かけたとします。その場合、農村戸籍を持った中国人は戸籍が理由で大きなハンデを負います。社会保障制度を都市戸籍の人ほど受けられません。支給額など待遇にも隔たりが生まれます。
現在、全人口に占める都市戸籍保有者の割合は約45%、農村戸籍保有者は約55%といわれています。
一部の超大都市を除く都市部では、戸籍の取得に関する制限を撤廃または緩和する動きがあります。生活困窮世帯を都市部に生み出す一因になるなどやはり問題のある制度だからです。
しかし、見方を変えると、それだけの社会問題を生み出すくらい中国の戸籍は大きな影響力を持つのです。
いま読まれてます