大谷翔平「FA移籍」に暗雲? 現地エンゼルス・ファンからは冷静な分析も

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2023/08/30

「オオタニは1日で1億ドル以上を失ったよ」

エンゼル・スタジアム内公式ショップ image by:角谷剛

メンタルの状態が悪かった人も、大谷選手が活躍したニュースを見ると気分が良くなる。そんな記事を日本のヤフーニュースで読んだ記憶があります。

普段は野球にそれほど関心がない層も、大谷選手のニュースは追いかける。そんな人も多いようです。日本人にとっての大谷選手は、もはや野球選手の域を越えて、スポーツ界にもとどまらず、社会的なアイコンなのでしょう。

ただ、アメリカでも同じような現象が起きているとまでは言えず、日本とは少し温度差があります。

大谷選手は現在のメジャーリーグで最大の人気選手かもしれませんが、そもそもアメリカでは野球自体が一番人気のあるスポーツではないからです。

野球ファンの間では大谷選手はすでに神格化される存在ですが、それ以外の層には「大谷翔平?誰それ?」という人もまだまだアメリカには多いだろうと想像します。

地元のエンゼルス・ファンであっても、大谷選手の負傷に関して、皆がそれほど悲痛な気持ちを抱いているわけでもなさそうです。

大谷翔平選手等身大人形と筆者 image by:角谷剛

私は毎週日曜日に行われる地元の草野球リーグに参加しています。良識あるアメリカ人なら教会に行くか、家族サービスに務めているはずの日曜日に、男だけで集まって野球をしているおっさん達ですので、皆が皆、筋金入りの野球ファンです。

彼らに大谷の負傷についてどう思うかを聞いて回ってみました。すると、「大谷選手はどうせ今シーズンオフには他チームへ移籍するだろうから、大谷選手を見られなくなる時期が少し早まってしまったな、残念だな」くらいの冷めた感想が大部分でした。

なかにはもっとマニアックな分析を披露してくれたおっさんもいました。


「大谷選手は肘の負傷が発覚したことで、受け取れるはずだった契約総額が1億ドル以上は目減りしてしまっただろう」と言うのです。

このおっさん、仮にアレンという名で呼びます。アレンが言うには、つい数週間前まで、大谷選手のフリーエージェント契約は総額6億ドル以上になると予想されていた。その内訳は打者として4億ドル、投手としては2億ドルだったということです。

もしこれからトミージョン手術を受けるとなると、最低でも1年は投げることはできず、長引けば2年になる。しかも投手として復活できるという保証はない。だから投手としての保証額はほとんどなくなり、出来高ボーナス制になるだろう。アレンが私に話してくれた概略はそういうことでした。

「投げられないオオタニは「ただの」超一流打者だからな」とも言っていました。

アレンの試算にどれだけの信憑性があるかどうかはともかく、桁の数まで間違っていることはないでしょう。現在の為替レート1ドル約145円で計算すると、1億ドルは約145億円ということになります。まあ、とんでもない金額です。

ちなみに、現在までのアメリカでスポーツ界最大総額の契約は、NFLカンザスシティー・チーフスのQB、パトリック・マホームズ選手が2020年に結んだ10年総額4億5000万ドルです。

大谷選手の契約が肘の問題を抱えながらもマホームズの記録を破るかどうか、アメリカのスポーツファンたちの興味はそこに絞られていきそうです。

 

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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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