オーロラが見える絶景地…2025年新規就航で北極圏「ラップランド」がもっと身近に
北欧、特に北部で、北緯66度33分以北の地域は「北極圏」と呼ばれます。夏は白夜、冬は極夜で時期によってはオーロラが見られるほか、フィヨルドや野生トナカイが生息する大自然は、まさに絶景の見どころづくし。
ただ、日本から行くのが遠いのが難点。しかし、北欧の大手航空会社フィンエアーのヘルシンキーキルケネス線(イヴァロ経由)が、2025年4月から新規就航することで、日本線との乗り継ぎも良く、北極圏へ行くのが一気に便利になります。
日本人に知られざる北極圏、ラップランドの魅力。2024年晩夏にフィンランドとノルウェーで現地取材した筆者が、ぜひ訪れるべきスポットや見逃せないポイントなどを紹介します。
【ノルウェー】極北のキルケネスはフィヨルドとキングクラブが名物
ノルウェーのキルケネス(Kirkenes、キルケネスやチルケネスと読むことも)が、フィンエアーが2025年4月から新規就航する都市。ヨーロッパ大陸で最北の町で、ロシア国境まで約7kmの場所にあります。
キルケネス空港は、街の中心部から西に約15kmのところに位置しています。ノルウェー沿岸を12日かけて往復する世界最北の定期船「フッティルーテン」の終着地でもあります。
キルケネスは、ロシアと国境を接する町らしく、主な観光スポットは「グレンセランド博物館」(国境の地博物館)や第2次世界大戦時の防空壕跡など。現在、ロシアとの国境そばまで行く見学ツアーが、旅行客の人気を集めています。
このキルケネスの絶景を堪能するなら、ボートに乗って絶景を見つつ、キングクラブの食べ放題を味わう「King Crab Safari」がおすすめです。
キングクラブは日本語でタラバガニ。1960年代に旧ソ連が食糧難を解決するためにカムチャッカ半島付近のタラバガニをノルウェー国境に近いムルマンスク沿岸に放流し、外敵がいないためにどんどん増殖してキルケネスまで歩いて到達したことで、いまや一大名物グルメとなっています。
キングクラブは足を広げると1.5m以上、重さも10kgほどあり、1匹すら1人で食べ切れない大きさ。採れたてをすぐ茹でて提供され、ぎっしり詰まった身は新鮮かつおいしさ抜群です。レモンまたはマヨネーズで味付けし、パンに乗せて食べるのが現地流とのこと。
なお、冬には雪原をスノーモービルで行く、夜のオーロラ観賞もセットのツアーなどもあります。どちらも極北ならではの大自然の絶景が満喫できます。
【ノルウェー】氷で造られた「スノーホテル」で北極圏ならではの宿泊体験
キルケネスの宿泊でも絶景を味わうなら、氷で造られた「SNOW HOTEL KIRKENES」(スノー ホテル キルケネス)がいちおし。世界中から旅行者が集まる人気ホテルです。レンガの代わりに氷を積み重ねて造られ、極北で極寒というまさに非日常体験ができます。
建物の外壁そして内装も、キルケネス地方の湖から切り出した氷そして雪で造られています。日本のかまくらと似てはいるものの、規模の違いにまず驚かされます。
野外のスノーホテルで宿泊できるのは、12月から4月まで。しかし、実は屋内のスノーホテルもあり、1年中、宿泊体験が可能です。
真夏でも防寒装備は必須。扉の向こうには、氷の世界が広がっています。客室や廊下の壁にはサンタクロースや動物など氷の彫刻が見られるほか、「アイスバー」ではアルコールの提供も。
寝るのは、温度が常時マイナスの空間。とはいえ、保温性抜群の寝袋と絶妙な寝心地のベッドが用意され、何より、氷に包まれる幻想的かつ静粛なので、想像以上に熟睡することができます。
さらに、ラップランドならではの料理が味わえるレストランやフィンランドサウナ、犬ぞりのハスキー犬たちやトナカイなどの見学も可能。まさに日本では体験できないことだらけです。
- SNOW HOTEL KIRKENES
- Sandnesdalen 14. 9910 Bjørnevatn, Troms og Finnmark, Norway
- ホームページ
【ノルウェー】辺境の漁村ブゴイネスも大自然の絶景が広がる
キルケネスの北西、車で約1時間半。まさに辺境の小さな漁村が、ブゴイネス(Bugøynes)です。その漁とはもちろんキングクラブ(タラバガニ)で、ブゴイネス産タラバガニは、世界主要都市の高級レストランで提供されています。
冬は太陽がほぼ出ず、12月と1月はまったく見られないという極北の地。先述した1960年代に旧ソ連からキングクラブの放流がなければ、厳しい気候のこの村はなくなる危機だったとのこと。わずかな民家と港以外は自然に囲まれ、特に丘陵地帯から望む景色はフォトスポットです。
【フィンランド】大自然の国立公園をトレッキング、トナカイ料理も名物
ヘルシンキからフィンエアーが就航する、フィンランド最北の地イヴァロ。フィンランドでラップランドを体験する玄関口であり、オーロラが見られる町でも知られます。夏はハイキングやトレッキング、冬はスキーやスノーモービルなど、まさにアウトドア天国です。
おすすめは、フィンランドで2番目に大きいウルホ・ケッコネン国立公園で楽しむトレッキング。フィンランドの森林でいたるところに生えている食用のベリー類を摘んだり、電動自転車でまさに自然しかない道を走ったり。野生のトナカイを見かける機会も多くあります。
そのトナカイはラップランドでは食用としても知られ、ステーキや煮込みなどで味わえます。しかも高級食材であり、臭みやクセがなくややあっさりめ。食べるほど旨みある味わいなので、ぜひ。
- Arctic Sky Lapland(アクティビティなど)
- Ruijankeino 2, 99830 Saariselkä, Finland
- ホームページ
- Laanilan Kievari(レストラン)
- Sateenkaarenpääntie 9, 99830 Saariselkä, Finland
- 定休日:日曜
- 営業時間:16:00~22:00
- ホームページ
【フィンランド】森と湖の国が体感できるイナリ湖クルーズ
イヴァロのさらに北、約40kmにある町イナリ。フィンランドで3番目に大きな湖のイナリ湖があるほか、イナリ・サーミ族の文化の中心地としても知られます。
イナリ湖は、水面1000km以上、約3,000もの島がある広大さに圧倒されます。特に「墓場島」「ウッコの石」が有名で、ウッコの石はサーミ族にとって生け贄の場所でした。
イナリ湖のクルーズは、旅行客に人気。ウッコの石などを近くで観賞するほか、無人島への上陸も。特に夜のクルーズでは、天気が良ければ、外光がほぼない湖上で絶景のオーロラを眺められるかもしれません。
フィンエアー最北路線、2025年4月新規就航で日本からも便利に
日本から北欧へ向かうなら、フィンランドの首都ヘルシンキを拠点とするフィンエアーの直行便が最も便利です。東京(羽田・成田)と大阪、名古屋(夏期のみ)から運航されています。
ヘルシンキ・ヴァンター空港は拠点空港ながらコンパクトな造りのターミナルで、初めてでも乗り継ぎもスムーズです。
ヘルシンキーイヴァロ線は毎日運航。そして2025年4月から、ヘルシンキーキルケネス線(イヴァロ経由)が新規就航します。フィンエアーの日本発は夜でヘルシンキ着が早朝のため、その後の乗継も数時間以内と、とてもスムーズ。そして、日本帰国時の乗り継ぎも数時間以内と同様に便利です。
これまでノルウェー北部まで行くのにヨーロッパ内で最低2度の乗り継ぎが必要でした。それと比べると、フィンエアーの新規就航で日本からの所要時間や手間などが大幅に短縮されます。
北極圏、特にノルウェー最北のキルケネス地方が、フィンエアーのこの新規路線で日本からも近くなる、旅しやすくなるのは大きなメリット。
大自然の絶景やアクティビティに加え、ご当地ならではのグルメ、そして先住民の文化など、日本人にこれまでなじみが薄かったフィンランドそしてノルウェーの「ラップランド」旅行を、ぜひ計画してみてはいかがでしょうか。
- image by:FINNAIR
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