歴史深い、京都の町屋を1棟借り。文化に浸る「おおきに迎賓館」
京都では、ただ街歩きをするだけで、至る所で神社仏閣や歴史的建造物に出会います。世界中の人を魅了するその風情ある街並みを歩くだけで、古き良き時代に想いを馳せ、非日常を感じられるはず。
今回は、そんな少しノスタルジックさも感じる大人旅におすすめしたい、ぴったりな宿をご紹介しましょう。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
昔ながらの景観が残る役人町に佇む「おおきに迎賓館」
今回ご紹介する「おおきに迎賓館・黒門中立賣邸」(以下、おおきに迎賓館)は、風情残る京都の街並みが残る西陣、京都市上京区の役人町にあります。近くには二条城、京都御所を望むこともできる、まさに街歩きにぴったりなエリアです。
ちなみに地名の役人町は、平安京・禁裏(宮中)の役人が住んでいたことに由来するとか。この辺りは昔ながらの景観が残る場所で、市内で約4万軒あると言われている町屋が多く、まるでタイムスリップしたかのような風情が漂います。
そんな「町屋を残したい」という思いで、2021年3月にオープンした「おおきに迎賓館」は、築120年の建物を改修した複合施設。なんとここは、憧れの町屋一棟貸しができるお宿なのです。
建物自体も歴史ある伝統的な木造建築で、「京都市景観重要建造物かつ歴史的風致形成建造物」に指定されています。
糸屋、料理屋、診療所と用途変え愛され、再生されたこちらの町屋ですが、一歩中に入ると、藻の生した庭、静寂に包まれた茶室、四季の移り変わりが五感で感じられる奥庭が目に飛び込んできます。
母屋に入るとすぐにレセプションがあり、ここで受付をして部屋へ案内されます。1階にある大広間からは、先ほどのお庭が一望でき、畳の清々しい香りに疲れを癒やされながらリラックスできます。
2階には客室2部屋とバスルームがあります。お庭が望める客室は、母屋で一番静寂に満ちた空間になっています。
もうひとつの客室は、洋風にアレンジされており、この部屋だけベッドが装備されています。さらにこの部屋からはおくどさんをみることができます。
おくどさんとは、かまどやかまどのある場所のことで、さらにその場所を守る神様のこと。京都以外の関西圏では竈(へっつい)というそうです。
ここは同施設内にある寿司店「ふく吉」の調理場なので、吹き抜けになったおくどさんで炊き上げるお米の香りや出汁の香りがかすかに漂い、どこか懐かしい実家を思い出すような、落ち着く空間になっています。
母屋を歩いてみると、木の温もりが随所に感じられ、床や縁(へり)、天井を見ても、自然に寄り添い、至るところに職人技が感じられます。近代の建物では感じられない自然との調和に癒やされますね。
調度品には作家さんの作品がさりげなく置かれ、趣のある新旧の融合した空間が用意されています。嗚呼、町屋1棟貸しって、なんて贅沢なのでしょう…。