韓国人と中国人が疑問に思っていた、日本独特の「いただきます」というマナー
毎日の生活に欠かせない食事。日本では、主にお箸を使って食事をしますが、海外諸国ではナイフやフォーク、スプーンを使用することもありますよね。
その際、食べるときのマナーや習慣は国によって多種多様で、ときに変化していくものです。例えばインドでは、食事をするときに右手を使い、不浄の左手は使わないといわれています。しかし絶対に左手を使わないというわけではなく、場合によっては左手で料理をとらないとマナー違反になることもあるみたいです。
インドの場合は宗教的な意味合いが強くありますが、日本と食事スタイルの近い韓国や中国でも、マナーや習慣は異なります。実際に、韓国人と中国人に日本での食事についてお話しを伺ってみたところ、あることに対してとても疑問に思っているのだとか。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
韓国と中国で「いただきます」は、いわない?
古くから日本では食事の習慣として「いただきます」「ごちそうさま」という文化が根付いています。食事を始めるとき・終えるときのあいさつで、小さいころから習慣づいている行為のひとつではないでしょうか。
筆者が小学生のころ、お昼を食べるときには日直が「手を合わせましょう。いただきます!」という言葉から、給食の時間がスタートしていたことを覚えています。
そんな「いただきます」や「ごちそうさま」というあいさつ、実は韓国や中国にはない文化なのだとか。
「韓国には『いただきます』にあたる言葉はあるけど、日本では食べ物に対する感謝の気持ちだよね?韓国では『作ってくれてありがとう』とか、『ご飯奢ってくれてありがとう』みたいな意味になるかなぁ」(韓国出身)
「日本でいう『いただきます』に当てはまる言葉が見つからない。あるのかもしれないけど、「みんな食べよ〜」くらいの言葉しか使わないかも」(中国出身)
このように韓国と中国では、「いただきます」という文化はありません。ちなみに話を伺ったほかの国でも食前に「いただきます」をいう習慣はないそうで、日本独特の文化といっても過言ではないのです。
では、韓国と中国ではどのようなタイミングで食べるのかというと、年長者が料理にお箸をつけてから食べ始めるのが一般的。
目上の人が食べ始めてからではないと失礼になるため、例えば家族でご飯を食べる場合だと、おじいさんやおばあさんが最初でお父さんお母さんへと続きます。
日本人はひとりだと「いただきます」をいわない?
この「いただきます」や「ごちそうさま」という文化ですが、韓国人と中国人にお話しを伺っていくと、「最初は慣れない行為にとても戸惑った」という話が聞こえてきました。また、「ひとりでご飯を食べるときはどうする?」といった疑問の声も。
「ランチタイムに定食屋さんへ行って、ご飯を食べていたのですが、近くに座っていた人のほとんどは『いただきます』っていってなかったです。だからひとりでいるときは、いわなくていいのかな?と思った」(韓国出身)
「日本人の友だちに必ず『いただきます』と『ごちそうさま』っていう子がいるんだけど、ひとりでご飯を作ったときでもいうらしいです。あと、ひとりで外食をするときも、いうって教えてくれました。いまはコロナの影響で『黙食(もくしょく)』が推奨されていますが、食べ物への感謝の気持ちを忘れないのは素晴らしいことだと思います」(中国出身)
「居酒屋とかでお酒を飲んで帰るとき、必ず日本人の同僚がお店の人に『ごちそうさまでした』っていっているのを見て、それから自分もいうようにしています。帰りますっていう合図にもなるからいいですよね」(韓国出身)
たしかに食べ物や作ってくれた人やサービスを提供してくれた人への「ありがとう」という気持ちを伝えるには、食事のあいさつである「ごちそうさま」は欠かせません。
とはいっても先ほどのコメントにもあったように昨今の状況変化もありますから、言葉にせずとも手を合わせたり、自分のなかで思うだけでもいいのかもしれないですね。
また、「いただきます」や「ごちそうさま」という食事のあいさつは、日本ならではのとても素敵な文化ですが、国が違えば習慣も異なるものです。お互いの国の文化を尊重しながら、これからも食に対する感謝の気持ちを忘れずに、毎日の食事を楽しんでいきたいですね。
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