活火山である「富士山」の近くには、なぜ温泉がほとんど存在しないのか?
環境省発表の「令和元年度温泉利用状況」(PDF)によると、日本には約2,900カ所の温泉地と、約2万8000の源泉があり、古くから温泉に親しんできたといえる日本人。
雨や雪といった地中へ染み込んだ水分が地中のマグマなどに熱され、それが自噴したりポンプで組み上げられることで温泉として利用できることから、なんとなく活火山の近くには温泉がある、というイメージを持っている方もいることでしょう。
そして日本を代表する活火山といえば「富士山」です。とはいえ、なぜだか富士山近辺にはあまり温泉がないのです。
そこで今回は、温泉ソムリエ協会「家元」であり『温泉ソムリエのメルマガ』の著者である遠間和広が、その謎について解説します。
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富士山と温泉の不思議な関係
昔は「富士山が見えるところに温泉はない」といわれていました。実際には箱根など、富士山が見える温泉地は昔からありましたが、手前には別の山があり、富士山が温泉をつくる直接の影響にはなっていません。
そしていまは、富士山が見える絶景露天風呂が自慢の「ホテル鐘山苑」がある「富士山温泉」や、内湯からの富士山の眺めが素晴らしい「うぶや」のある「河口湖温泉」がありますが、歴史は浅い温泉地です。
- ホテル鐘山苑
- 山梨県富士吉田市上吉田東9-1-18
- 公式サイト
- うぶや
- 山梨県南都留郡富士河口湖町浅川10
- 公式サイト
富士山はあれだけの巨大な火山にも関わらず、温泉のイメージがないのは確かですし、実際に周辺には温泉地が少ないです。それにはいろいろな理由があるのですが、温泉の条件である「水」「熱」「通路」に関係があります。
専門的にいうとちょっと難しい話になるのですが、ごく簡単にいうと、富士山は比類なき高さの単独峰なので、水が熱源のマグマに出会う前に湧水として地上に出てきてしまうのです。
そして、地下深くでは温泉になっている水源があるはずですが、富士山が「蓋」になって、湧出してこないともいえます。
岐阜県・下呂温泉のような川の近くに温泉があるのは、川が天然の掘削のような状態で、地上に温泉が出てくるのですが、富士山はその逆だといえますね。富士山が全部削られれば、温泉が出てくるのでしょう。
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