清原果耶、台湾撮影で感動「現地の方が本当に温かくて、映画と同じルートでまた旅したい」
台湾を旅するバックパッカー役を演じた清原果耶さん、どうやらその台湾で多くの思い出ができたそうで……?
『新聞記者』『余命10年』などのヒットメイカー、藤井道人のラブストーリー『青春18×2君へと続く道』が5月3日に公開。この日台合作映画の話題作でヒロインを演じるのが清原果耶さん。出演した作品全てで強烈な印象を残し、若手俳優の中でも群を抜く実力派として知られる彼女に対し、TRiP EDiTORが撮影で訪れた台湾での思い出などを聞いてきました。
「朝ドラ」ヒロインデビューから、あっという間に本格女優へ
凛とした眼差し、透明感あふれる佇まいが魅力的な清原果耶。2015年、NHK連続テレビ小説「あさが来た」(NHK総合)で女優デビューして以来、「透明なゆりかご」(18)や朝ドラヒロインに抜擢された「おかえりモネ」(21)、映画『護られなかった者たちへ』(21)では第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。そして2023年11月には舞台にも活躍の場を広げ、初舞台で主演を担った「ジャンヌ・ダルク」でも高い評価を得るなど、各界からその才能が絶賛されています。
清原果耶、台湾の俳優シュー・グァンハンとダブル主演でラブストーリーに挑戦
そんな彼女の最新作は、気鋭、藤井道人監督と3度目のタッグを組む『青春18×2君へと続く道』。18年前の台湾と現在の日本を舞台に、国境と時を超えてつながる初恋の記憶をエモーショナルに描き出すラブストーリー。清原果耶は台湾を旅するバックパッカー・アミ役を演じ、台湾の国際的俳優として人気のシュー・グァンハンとダブル主演を果たしています。
──今回演じるアミの印象についてどう思いましたか?
親目線として見ると、頑張り屋さんだなっていう一言に尽きますね(笑)。素直で出会いに敏感で、とても憧れる生き方をしてる女の子だなと思いました。
──しっかり脚本も読み込んでのぞんだんですね。
そうですね。強さも儚さも持ち合わせてる彼女がより魅力的に映るには、表情や仕草、感性の部分だと思ったので、脚本をちゃんと余すことなく読もうと思いました。
──脚本を読みこむほかにどんな役作りをしましたか?
藤井組はキャラクターシートをくださるんですけど、それをよく読むぐらいしかできることがなかったんです。なぜかというと、この作品は日本のパートから撮影が始まったんです。台湾での構築が何もない中で、そんなに考えられることもないので、どうしようかなと思いつつ、とにかくやるしかないな、と(笑)。
──監督の藤井さんからはどのような?
藤井さんが逐一、「ここはこういう感じだと思います。じゃあ、よろしくお願いします」という感じで、日本のパートをあまり揺らさずに任せてくれたので、とりあえずその日は頑張って、台湾パートは台湾に行けばなんとかなるかと思いました。
──自分でアミという女の子をさらに膨らませることはありましたか?
いえ、役についての理解を深めることに集中し、現場での経験に柔軟に対応しました。私の中ではそれこそ台湾パートがメインだったので、台湾に行ってみて、アミと同じように初めての旅で台南とか行ったことない場所もあったので、感じるままにやればそれが繋がっていくだろうから、行ってやってみようと思っていました。
日本と台湾、撮影裏話は?
──実際に台湾に入ってどうでした?
過去、台湾にはお仕事で一回だけ行ったことがあったんですけど、懐かしい気持ちにもなったし、それこそアミと一緒に台湾を知ることも多くありました。役と平行して台湾の深みや良さとか、人情味というか人の温かさを知れたのは、今回すごく良かったです。
──食や文化の面はいかがでしたか?
すごく肌に合っていました。台湾は台北と台中と台南があって、台湾の人がどこも気質が違うと言ってたんですけど、私は特に台南が好きでした。
──台南!?
そうです。食事を気に入って、大好きになりました。食事に助けられて、スケジュールも頑張れていたところがあって(笑)。それこそ観光地みたいなところも多かったので、現地の方が距離をとることも全くないし、ありがたいことにすごく居心地が良い距離感で過ごせていました。
「台南が好き。映画と同じ旅もしたいし、ほかの場所にも行ってみたい」
──もしアミのように台湾を一人で旅するなら?
やっぱり台南ですね。台南が一番好きなので、映画と同じルートを旅したり、ほかの場所にも行ってみたいです。
──好きだった食べ物を一つ教えてください。
ダンピンです。ご存知ですか? 台湾の朝食なんですけど、クレープみたいな薄い生地に卵や味が濃い豚肉のパラパラしたものを巻いて食べる料理です。
──美味しそう!
いろんなメニューがあるんですけど、私は滞在中、本当に10回以上食べていました(笑)。撮影がない日も、それをわざわざデリバリーして食べるぐらいハマってしまって。すごくシンプルなお味なんですけど、それが癖になりました。
──食事で撮影を乗り越えたとのことですが、どんなところが大変でしたか?
撮影はとても楽しかったので、強いていうなら、スケジュール面でしょうか? 夜までの撮影がある日は体力面でちょっとハードでした。でも、そういう日も夜食が出ていて、夜食を楽しみに撮影を頑張ってました(笑)。
──夜食(笑)
そうなんです。ランタンのシーンも夜だったので、明け方まで撮っていて、お腹がすいた時は、現地の台湾のスタッフさんがタピオカを買ってきてくれたりして、本当に助けていただきました。
藤井道人監督と3度目のタッグで学んだこと
──藤井道人監督とは、『デイアンドナイト』(19)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)に続き3回目のタッグとなります。監督と現場でどんなやりとりをしましたか?
撮影中、役作りについては日々議論を重ねていましたが、具体的な内容は覚えていません。ただ、細かい調整を行っていたことは確かです。台湾いいね、楽しいねっていう会話は定期的にしていたことは覚えています(笑)。
──今回なにか気づいたことってありました?
今回と言うか、3作品ご一緒して、気づいたことがあって。藤井さんはよく私に何かを描かせるんだっていう発見がありました(笑)。1作目が水彩画、2作目は墨の絵、今回は絵と、常に何か描いているんですよね。今回は趣味で絵を描く役柄だったため、緊張しましたが、美術指導の先生のおかげで役の絵について学ぶことができました。
──アミが台湾でのバイト先「カラオケ神戸」の壁に絵を描くシーンがありますが、実際に清原さんが描かれてるんですか?
私も描いてます。と言ったほうがいいのかな。撮影で絵を描くシーンは、1回でOKはないので、何回もスタッフさんが塗り直して、もう1回描く、を繰り返して、大変なシーンでした。最終的に美術さんが素敵な絵を描いてくださったんですけど、その全貌を静止画でも見ていただきたいぐらい素敵なんです。美術さんのこだわりも詰まってる作品になってます。
──台湾のスタッフとお仕事をされたことも挑戦になったと思いますが、いかがですか?
いい意味で何も変わらなかったというか、もちろん仕様として違うことはあったんでしょうけど、私は現場にいて台湾と日本の違いについて気になりませんでした。
──それは具体的どういうところが?
みんな映画のために朝起きて、夜まで撮影して、じゃあ明日も頑張ろうねって帰る。その同じ感じが、安心してました。この作品のためにみんなが集まっていること、そこで生きればいいだけの話というのが、すごく楽しかったです。
──日本の現場とあまり変わらなかったと?
あ、でも、個人的に台湾の現場で好きだったことはあります。毎日、香盤という翌日の撮影スケジュールが出るんですけど、監督とカメラマンとチーフ助監とプロデューサーがその香盤にサインするんですよね。
──どういう意味があるんですか?
この香盤でOKですって。毎日サインしていて、藤井さんも中国語で明日も頑張ろうってコメントを書いたりしていて、幸せな現場だなって思いました。これは日本にはなくて、いいなって。私は全然関与できなかったんですけど、次チャンスがあれば、サインしてみたいかも(笑)
──次回ぜひ(笑)。さて、自分のパート以外でジミーが日本を旅するシーンを含め、全体的につながった作品をご覧になっていかがでしたか?
私は主に台湾パートの撮影に参加していたので、台湾に行きたくなるようなロケーションや作品の撮り方だなと思いながら撮影してたんですけど、全編つながったのを見ると、日本のパートも素晴らしかったです。
──日本のパートではどの辺が?
四季が豊かなので、映像がとにかく美しくて。また、Mr.Childrenさんの主題歌がすごく作品に寄り添ってくださった歌詞だったので、簡単な言葉になりますけど、なんて美しくて優しい作品ができたんだろうと思いました。
──ミスチルさんの曲が本当にマッチしてましたよね。
そうなんです。たっぷり世界に浸れました。あと、エンドロールに歌詞が載ってるのが、すごくいいなと思って、なかなかないじゃないですか。ちゃんと結末をつけてくれるというか、答えは人それぞれだけど、ちゃんと終着点を用意してくれている感じが優しいなって思います。
──最後に。台湾との国際プロジェクトである今作に出演して、俳優として新しい目標は生まれましたか?
楽しそうな船に乗せてもらえて、すごくいい経験ができたと思います。作品とは出会いなので、いい出会いがあれば、これからもいろんな挑戦をしたいなと思わせてくれるような作品でした。
インタビュー・文/杉嶋未来
撮影/能美潤一郎
清原果耶(KAYA KIYOHARA)
2002年1月30日生まれ、大阪府出身。「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを受賞。2015年、NHK連続テレビ小説「あさが来た」で女優デビュー。『護られなかった者たちへ』(21)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。主な映画出演作に『3月のライオン前編/後編』(17)、『ちはやふる-結び-』(18)、『まともじゃないのは君も一緒』(21)など。テレビドラマでは、「透明なゆりかご」(18)、NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」(21)、「ファイトソング」、「霊媒探偵・城塚翡翠」(22)などの主演作がある。初舞台「ジャンヌ・ダルク」では、読売演劇大賞、優秀女優賞・杉村春子賞を受賞。今後『片思い世界』(24)の公開が控える。
information
『青春18×2 君へと続く道』
5月3日(金)より全国公開
監督:藤井道人
脚本:藤井道人、林田浩川
出演:シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C) 2024「青春18×2」Film Partners