きっかけは教え子との約束。駅弁の「掛け紙」で有名になった高校教師
旅の醍醐味の一つが、各地の駅で販売されている「駅弁」です。地域の特産や名物を活かした駅弁の”中身”も素晴らしいですが、今回注目するのは、その駅弁を包む「掛け紙」です。
全国の駅弁の掛け紙だけを6,600種類以上集めたWEBサイト「駅弁の小窓」の管理者である上杉剛嗣さんは、なんとこのすべてを個人で収集しています。なぜここまで懸け紙収集に夢中になってしまったのでしょうか。掛け紙の魅力に迫ります。
人生を変えた「駅弁掛け紙」。集めた数は6,600種以上!
夏休み、秋の行楽と旅の季節が続く。旅に欠かせないものが駅弁だ。駅弁を楽しむこと自体が旅の目的となっている人もいる。その一人が上杉剛嗣さん(57歳)。旅の楽しさ、思い出の記録として、駅弁の掛け紙収集に着目した人である。
最近では、駅弁だけでなく、高速道路で販売している「速弁」や空港で販売している「空弁」にも対象を広げ、収集した懸け紙は、今や6,600種類以上に達する。
自身が運営するWebサイト「駅弁の小窓」には、それらがもれなく、彼のこだわりの目で分類され、掲載されている。弁当中身の写真は一切なく、掛け紙だけというユニークサイトだ。
中学から始めた駅弁懸け紙収集への意気込みは、50歳を超えた今でも、まったく衰えることがない。掛け紙の何が、彼をそれほどまでに夢中にさせるのだろうか。
収集のきっかけは中学1年のときの「北海道旅行」だったという。旅の帰りに、青森駅で幕の内弁当を買った。その掛け紙がねぶた祭のキレイな図案だった。旅程の関係でねぶた祭を見ることはできないが、これを記念にしようと持ち帰った。それが最初の1枚だった。
絵葉書と同じようなつもりで持ち帰った掛け紙だったが、アルバムに整理して見直すと、旅の思い出がよみがえる。いい記念の品になることに気がついた。掛け紙を見るだけで、タイムマシンのように旅の情景がよみがえってくる。それ以来、旅に出ると駅弁の紙を保存するようになった。