オムレツでまさかの町おこし。なぜ和歌山「はしもとオムレツ」は成功できたか
オムレツをもちもち生地のクレープで
そのうちの一軒、「はしもとオムレツ」第一号認定店となったのが「マロンカフェ」。ご主人の土井秀行さん(61歳)は32年ものキャリアをいだくベテランのクレープ職人。
土井さんが焼くのはオムレツのクレープ「オムクレ」(450円 税別)。クレープ生地にオムレツをはさみ、恋野マッシュルームを和えた特製ソースでいただきます。牛乳たっぷりなもっちもちの生地とオムレツの相性のよさは、過去になかったのが不思議なほど。やさし~い味わいのおやつです。自家焙煎の香り豊かなアイスコーヒーにぴったり。
土井「新しいクレープがつくれないものだろうかと悩んでいたちょうどそのとき、市長が『オムレツでの町おこしを推進したい』と語っている記事を新聞で読みました。『そうや! オムレツがあるやないか!』と思って、すぐに商工会に電話し、一番目に登録しました」
そうして土井さんはクレープに巻くことで“オムレツの食べ歩き”という新しいスタイルをうみだしたのです。現在は推進協議会の会長をつとめておられます。
マロンカフェ
和歌山県橋本市妻2丁目2番25号
スーパーセンターオークワ橋本店内
0736-25-6670
9:00~22:00
定休日 無休
オムレツがメインのフルコース料理
続いて紹介するのは、宴会などに多く利用される「ラポール橋本 商工会館」。こちらでは2年前からなんと「オムレツのフルコース」がいただけるのです。
オムレツを中心に、不定期にかわるお肉や魚がサイドメニューに。主従逆転というか。取材した日のサイドメニューはボリュームたっぷりなスペアリブでした。ときにはステーキがオムレツの脇に従えることもあるのだとか。さらにスープ、サラダ、デザート、ドリンクがついてお値段なんと1,500円!(税別 予約制)。コスパのよさにのけぞりそう。
オムレツがメインでお肉がサブ。バイプレイヤーが主演を果たしたようなこのコースメニューを考案したのはシェフ歴40年の清水良一さん(59歳)。「ホテルJALシティ松山」の料理長をつとめるなど数々の有名ホテルで腕を磨いた名匠です。
清水「オムレツがメインとなるコースってこれまでなかったので、橋本産の『ひねどり』のミンチでソースをつくるなど工夫をしました。サイドメニューだけではなくソースも旬の素材を使って変化させていきますので、何度いらしても違う味を楽しんでいただけます」
いただいたオムレツは、凛とした正統派ホテル仕様。塩こしょうと生クリームのみで撹拌されたシンプルでスマートなオムレツに背筋が伸びる想いがします。火の通し具合の絶妙さにうっとり。味つけがあっさりしているため橋本たまごの味の奥行きをいっそう堪能できます。
ラポール橋本 商工会館
和歌山県橋本市市脇1丁目3-18
0736-34-2241
9:30~22:00(L.O.21:00)
https://www.rapport-hasimoto.com/