きっかけは学校給食。三重県津市の名物になった巨大餃子「津ぎょうざ」
「津ぎょうざ」は小学校の給食から生まれた
餃子と小学校、あまり関係性が見えないのですが、なぜ小学校なのでしょうか?
西川「それは、津ぎょうざが“小学校の給食から誕生したもの”だからです。1985年頃、学校給食を担当する栄養士さんや調理師さんたちが『子どもたちに肉も野菜も炭水化物もバランスよく摂れて栄養価が高いメニューを食べさせてあげたい』『小学校時代の想い出に残るようなインパクトの強いおかずをつくりたい』と考えて生みだされたものなんです。生徒たちが卒業しても『あの頃に食べた津の餃子は大きかったなあ』って懐かしく語りあえるように」
そうか、津ぎょうざをPRするユニットが「小学校」を名乗るのは、ルーツが学校給食だったからなのですね。給食に登場したその日からネーミングは「津ぎょうざ」。現在も給食時間に供され、現在まで約6万人以上が食べた津市民のソウルフードです。1985年から今日にいたるまで生徒たちが心待ちにする超人気メニューで、「大好物の給食の献立」をアンケート調査したところ、カレーを抑えダントツ1位に輝いたのだとか。
では、「なぜこれほどまでにデカいのか」「なにゆえに揚げてあるのか」。それは小さな餃子をちまちま包んで焼いていたのでは給食の時間に間に合わないから。大きな餃子でも揚げることで食材に熱が均等に行き渡るという理由があったわけです。
学校給食ならではのアイデアは食材そのものにも及びます。普通ならタネに練りこまれるのはキャベツや白菜など葉物野菜ですが、これを使わず、かわりに値段の変動が少ない玉ねぎを使用。そのため餃子でありながらメンチカツのような洋食に近い味わいを兼ね備えます。またタネにははじめから醤油で味をつけ、つけダレがいらないのも津ぎょうざの特質。
藤堂「とはいえ、そう簡単にできあがったわけではないんです。直径15センチにもなる大きな餃子の皮はもちろん市販されていない。そのため特注せざるをえないのですが、『そんな破格サイズな皮はつくったことがない』と、どこからも断られたそうです。給食調理員さんたちが何度も頼み込んでやっと一軒の製麺所が引き受けてくれたおかげで実現しました。津ぎょうざほど大きな餃子が他都市に存在しいないのは、そういった経緯もあるのです」
津ぎょうざの定義は「揚げてあること」、そして「皮が直径15センチであること」。15センチ以下でも以上でも津ぎょうざとはみなされません。この規定には生徒のために尽力した給食調理員さんたちへのリスペクトがこめられていたのです。
西川「そのかわり、内容物に関する規制はないんです。もともと玉ねぎを使うなど自由な発想から生まれた献立ですから。道の駅では海老やジビエを包んでパンにはさむなど、さまざまなかたちで提供しています。デザートとして出している店もあるし、バリエーションの広さも楽しんでほしいですね」
ますますいただくのが楽しみになってきました!