きっかけは学校給食。三重県津市の名物になった巨大餃子「津ぎょうざ」

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2018/05/09

学校給食だった「津ぎょうざ」目当てに大行列

では最後の質問。はじめは学校給食の献立だった津ぎょうざが、街のご当地グルメとなったいきさつを教えてください。

藤堂「津ぎょうざは津市民にとっては当たり前の存在でした。ところが他県出身の方が(現在は津ぎょうざ小学校のメンバー)『津の学校給食には津ぎょうざというとてもジャンボな餃子が出て、それが子供たちの人気No1メニューなのだ』という話を給食調理員さんからたまたま教えてもらい、『そんな大きくて、ユニークな餃子は日本中探してもないよ』と言ったんです。それを聞いて、今度は我々のほうが『そうか、津ぎょうざは珍しいものだったんだ』と気づかされました。『だったらお祭りの日に試験的に販売してみたらおもしろいんじゃないか』と思い立ち、2008年10月、県下最大級の『津まつり』に出展したところ、大行列。2日間で400個が完売したんです」

学校給食だった津ぎょうざはお祭りで一般販売され、かつて小学生だったお客さんたちが懐かしさもあって押し寄せたのだとか。そして「改めて食べたら、めっちゃおいしい!」と、ノスタルジーを越えてグルメとして再評価され、こうして街のシンボルとあいなったのです。

▲お祭りで一般化した津ぎょうざは現在も催事の花形。津ぎょうざの精霊「つつみん」も姿を現す
▲お祭りで一般化した津ぎょうざは現在も催事の花形。津ぎょうざの精霊「つつみん」も姿を現す

2016年「東海・北陸B1グランプリin坂井」では遂に栄えあるゴールドグランプリを受賞。津ぎょうざの皮のなかには30年を超える、小学生が立派に成人するまでのドラマが包み込まれていたのですね。

▲2016年度「東海・北陸B1グランプリ」では遂に頂点に立った。授賞式にはもちろん小学生のコスプレで登壇
▲2016年度「東海・北陸B1グランプリ」では遂に頂点に立った。授賞式にはもちろん小学生のコスプレで登壇

人気の秘密は練りこまれたラーメンの醤油だれ

では、独断で選ぶ「おすすめ津ぎょうざ」を紹介します。まずは自家製手もみ麺で人気の「ラーメン いたろう」の津ぎょうざ(1個300円 税込)。お客さんのほとんどが注文するという人気メニュー。週末は他府県からもわざわざ食べにやってくるのだとか。

▲「ラーメン いたろう」店主の森正章さんと妻の弘枝さん
▲「ラーメン いたろう」店主の森正章さんと妻の弘枝さん

店主の森正章さん曰く、

「皮は厚めの特注品で食べごたえがあります。そしてラーメン屋ですので具にはラーメンのスープと“かえし”(醤油だれ)を練りこんでいます。ほか、干しエビの風味を効かせ、豚の背脂でコクを増しています」

▲ラーメンスープと醤油だれで味付けしたタネを特注した厚めの皮に包みこむ
▲ラーメンスープと醤油だれで味付けしたタネを特注した厚めの皮に包みこむ
▲高温で揚げながらプロの目で「食べごろ」を見極める
▲高温で揚げながらプロの目で「食べごろ」を見極める

運ばれてきた揚げたてを見てみると改めて「津ぎょうざって……デケーな」と目を見張ります。では、いただきます……これは、ぅぅうまい! がぶりとかじれば小籠包さながらにアツアツの肉汁とラーメンスープが溢れ出て、さらにエビの香りがふわっと舞い踊り、ひとつの餃子で多彩な楽しみがあるのです。


▲切るとアツアツの肉汁とラーメンスープがしたたる。ジューシーでたまらない
▲切るとアツアツの肉汁とラーメンスープがしたたる。ジューシーでたまらない
▲それにしても、でか! 人の顔くらいある
▲それにしても、でか! 人の顔くらいある
▲校長先生も学級委員も大満足
▲校長先生も学級委員長も大満足

ラーメン いたろう
三重県津市丸之内4-20
059-223-1600
11:30〜14:00 17:30〜20:30 LO(売り切れ次第閉店あり)
定休日 日曜夜 月曜
公式HP

ちゃんこスープをかけて食べる相撲部屋の味

続いては、元大島部屋のちゃんこを継いでいる「金鍋 本店」。厨房スタッフも元関取という本格力士料理のお店です。女将の平松佐智恵さんは先代旭國がまだ幕下だった17歳の頃から50年以上のおつきあいがあるという筋金入りの相撲好き。

▲元大島部屋の味を受け継ぐちゃんこ鍋の店「金鍋 本店」の女将、平松佐智恵さん。手にしているのはなんと「津ぎょうざ茶漬け」
▲元大島部屋の味を受け継ぐちゃんこ鍋の店「金鍋 本店」の女将、平松佐智恵さん。手にしているのはなんと「津ぎょうざ茶漬け」

こちらの名物は「津ぎょうざ茶漬け」。餃子の中身は、ごまの混ぜごはん。鶏ガラでだしをとったソップ炊きのスープをかけていただきます。これでお値段300円(税込)はコスパ良すぎでは。

▲割ってみると、なかはごまを和えた白ごはん。「ごまは、ちゃんこに欠かせないものだから」
▲割ってみると、なかはごまを和えた白ごはん。「ごまは、ちゃんこに欠かせないものだから」
▲ごまごはん入りの津ぎょうざに鶏がらでだしをとったちゃんこスープをかける。ちなみにこの画像の調理をしてくださった方も元関取
▲ごまごはん入りの津ぎょうざに鶏がらでだしをとったちゃんこスープをかける。ちなみにこの画像の調理をしてくださった方も元関取

平松「大島部屋に伝わるちゃんこスープのおいしさをまず知ってもらおうと、あえて安価に設定しています。ごまを和えたごはんを詰めているのは、ごまはちゃんこに欠かせないものだから」

▲海苔やネギでさらによい香りに。津ぎょうざの皮にちゃんこスープがしみいって、サクサクほろほろ。これでたったの300円
▲海苔やネギでさらによい香りに。津ぎょうざの皮にちゃんこスープがしみいって、サクサクほろほろ。これでたったの300円

アツアツのちゃんこスープを注ぎ、海苔とネギで香りよく仕上げた逸品。揚げた皮がスープにほろほろとほどけ、ワンタンのような役目を果たします。しじみじ、うまい。誰しも軍配をあげる絶品です。

金鍋 本店
三重県津市南丸之内9-43
059-224-0075
11:30~14:00(LO13:30)*ライチタイム営業は不定
17:00~22:00(LO21:00)
定休日 火曜日(臨時休業あり)

店によってさまざまな創意工夫がなされ、冴えたアイデアを内包した津ぎょうざ。とても知的な食べ物だと感じました。発祥が小学校であることも、なるほどうなずけます。皆さんも全店コンプリートを目指してみてはいかがでしょう。きっと気分がアゲアゲになりますよ。

津ぎょうざ小学校公式HP

写真・文/吉村智樹

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京都在住の放送作家兼フリーライター。街歩きと路上観察をライフワークとし、街で撮ったヘンな看板などを集めた関西版VOW三部作(宝島社)を上梓。新刊は『恐怖電視台』(竹書房)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)。テレビは『LIFE夢のカタチ』(朝日放送)『京都浪漫』(KB京都/BS11)『おとなの秘密基地』(テレビ愛知)に参加。まぐまぐにて「まぬけもの中毒」というメールマガジンをほぼ日刊で発行している(購読無料)。

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