青山や中目黒の奥様が殺到、パリ発「冷凍食品スーパー」が急拡大
オープン以来の人気の商品は、自宅で本場の味を、焼き立ての状態で食べられる「クロワッサン」(10個入り843円、税込・ECショップ、以下同)。生地に発酵バターを使っているので、香りが高くコクがある味わいだ。クリスマスのようなパーティーシーズンには、「サーモンのパイ包み焼き」(6皿分3,219円)や「食いしん坊のミニエクレア」(12個入り1,599円)など、写真映えする商品がよく売れる。最近は、野菜の価格高騰もあり、料理の素材となる野菜がヒットしている。
従来の冷凍食品のような、安価なものではなく、食生活を華やいだ雰囲気にしてくれる、それなりに単価を取る商品が揃っている。一方で、従来のフランス料理のイメージにある、こってりした濃厚な味付けではなく、全般にカロリー、塩分、糖分は控えめのヘルシーな料理となっている。
顧客層は幅広いが、料理をする機会が多い女性、男女を問わずトレンドに興味がある人、食にこだわりを持っている人が主流。週末には家族連れが増える。平日の青山骨董通り店では午前中は近隣住民、夕方以降は仕事帰りの人が増える。ショッピングや観光の流れで立ち寄って購入していく人も多い。
外国人の顧客が一番多いのは、麻布十番店となっている。麻布十番店は土地柄、外国人が多いこともあるが、イオンの子会社ビオセボン・ジャポンが経営する、フランスで100店舗を展開するオーガニックスーパー「ビオセボン」の日本1号店に併設しているのも、外国人顧客が増える要因となっている。
現在のところ卸売を行っていないので、飲食店の関係者がどの程度購入しているのかは不明だが、「品質の良さは料理のプロからも評価をいただいている」(イオンサヴール・広報担当者)と、業務用途の拡大にも自信を見せている。実際、フランスの「ピカール」の店舗には、日本から多くの冷凍食品やコンビニ、スーパーの関係者が視察に訪れており、商品開発のヒントにしていると言われてきた。また、フランスでは「ピカール」商品をホームパーティーのみならず、レストランでも活用するケースがあるという。
日本限定で販売している商品はなく、輸入の規制が厳しい肉類の「スパゲッティ ボロネーゼ」、「鶏肉のソテー レモン風味」など一部は国内で製造している。オーブンを使わなければできない「クロワッサン」、人気のスイーツ「モアローショコラ」のような商品も多数あるが、今まで使っていなかったオーブン機能を使ってみたら意外と簡単で便利だったといった、消費者の声も寄せられている。オーブン、電子レンジ、フライパン、鍋、蒸し器などを組み合わせて、幾つかの料理を同時に調理できるのも、「ピカール」の魅力の1つである。