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おにぎりに、のりは巻かない。富山県では当たり前の食べ方とは

坂本 正敬
坂本 正敬
2018/10/06

日本海航路が富山を「昆布王国」にした

富山在住の筆者宅にある昆布の数々

どうしてこれほど昆布は富山で身近な存在なのでしょうか。その理由は『海拓 富山の北前船と昆布ロードの文献集』(編集:北前船新総曲輪夢倶楽部、発行:富山経済同友会)など数々の書籍が記しているように、北前船が関係しています。

耳慣れない船の名前かと思いますが、北前船とは江戸時代の中期から明治、大正にかけて、

<大阪と北海道(当時の蝦夷地)を結び、日本海沿岸の航路を行き来した>(『海拓 富山の北前船と昆布ロードの文献集』より引用)

商船です。北前船で日本海を往復し、函館の町の基礎を築いた高田屋嘉兵衛が主人公の司馬遼太郎『菜の花の沖』を読んだ人も居るかもしれませんね。その寄港地が富山県には幾つか存在し、北前船が寄港するとともに、北海道の昆布が大量に富山にもたらされました。さらに、

<当時、北陸に運ばれた昆布は厚く、削らなければ食べにくいこともあって、削って食べることを知った>(『海拓 富山の北前船と昆布ロードの文献集』より引用)

という経緯があって、とろろ昆布が生まれたのだとか。その文化が今でも残り、とろろ昆布をおにぎりにまぶすといった、何気ない人々の行動にも影響を与えているのですね。

富山ではコンビニエンスストアでもとろろ昆布おにぎりが買える

北前船の寄港地だった岩瀬のまちなみ(柴佳安撮影)

では、このとろろ昆布のおにぎりを、旅行者はどこで食べられるのでしょうか?

テレビ番組のように、地元の人のお宅に上がり込んで、おにぎりを食べさせてもらうわけにはなかなかいきません。その意味で、誰でも簡単にとろろ昆布おにぎりを手に入れられる場所としては、県内にあるコンビニエンスストアが挙げられます。

セブン-イレブン、ローソンなど、大手のコンビニエンスストアにも、当たり前にとろろ昆布おにぎりが置いてありますので、旅のお供に購入したいですね。飲食店で温かいとろろ昆布おにぎりを食べたいと思った場合は、駅周辺のうどん屋やそば屋、ラーメン屋などに入れば、食べられる可能性は大きいです。

同時に、昆布を富山にもたらした北前船の歴史を感じる旅も魅力的です。特に富山市の岩瀬という港町には一見の価値があり、同地は北前船の寄港地として江戸時代の末から明治初期に絶頂を迎えた歴史を持ちます。今では地元の名士の活躍により、美しいまちなみが整備されています。

市の中心部からも近く、町歩きには最適な規模で、北前船の歴史も学べます。岩瀬にある『松月』などの飲食店では、富山湾の海の幸や昆布を生かしたお吸い物などの料理を楽しめます。

昆布締め(写真:とやま観光推進機構

普段から昆布を口にしない人からすると、「昆布?」とピンとこないと思いますが、昆布はうま味の成分であるグルタミン酸を豊富に含んだ食べ物。個人的には刺身を昆布で締め、昆布のうま味を魚の肉にしみ込ませた昆布締めが大好物。お酒が飲める人は、富山の日本酒と一緒に、こちらも試してみてくださいね。

image by:Shutterstock.com

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

おにぎりに、のりは巻かない。富山県では当たり前の食べ方とは
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