桟橋から船でチェックイン。イルカも暮らす能登の名湯「和倉温泉」

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2018/11/11

船でチェックインできる宿も!和倉温泉で絶景のオーシャンビューを楽しめる理由

和倉温泉街 image by: ななお・なかのとDMO

和倉温泉は海に面した温泉街というよりも、滞在中は「海の上に宿泊している」と錯覚してしまうくらい、海の気配が間近に迫った温泉地です。

事実、一部露天風呂やテラスから海釣りを楽しめる宿もありますし、七尾湾に突き出すプライベートの桟橋が設けられている宿も少なくありません。事前予約があれば、特別に船でチェックインできる宿も存在します。これほど海に近い場所で天然温泉がわきだしているの理由は、何なのでしょうか。その答えは、もともと和倉温泉は海上にあったからなのです。

『全国温泉大辞典』(旅行読売出版)で和倉温泉を調べると、

<約一二〇〇年前に一羽の白鷺が傷ついた足を温泉でいやしているところを漁師が見つけたのがはじまり>(同上の書籍より引用)

という伝承があるそうで、この辺りの信ぴょう性は定かではありませんが、『石川県の地名』(平凡社)を見ても、

<前田利家が鷹狩に来遊の際海上に泡立つのを認め>(『石川県の地名』より引用)

とあります。要するに和倉は海の中でわき出す温泉だったのですね。その結果、浦が涌く(湧く)、涌く(湧く)浦、和倉と呼ばれるようになりました。この泉源に湯島が作られると、橋が架け渡され、自然の堆積が進む中で人の手によって埋めたても行われます。湯島とは海中から湧出する温泉をくみ易くするための人工島ですね。

最終的に明治41年、完全に陸地化され、弁天島と呼ばれた湯島が島ではなく岬になって、弁天崎と呼ばれるようになったと『和倉温泉のれきし』にも書かれています。実際に現地の地図、あるいはドローンでの空撮映像を見ると分かる通り、和倉温泉の海岸線は全て直線で構成されています。埋め立てられた痕跡が見て取れるのですね。

和倉温泉はかつて海中にあり、その源泉に陸地が近づいていった歴史があります。この海に陸地がせり出していった立地も、和倉温泉のオーシャンビューを格別に美しくしている理由の1つと言えるのですね。

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