長崎に縁の深い外国人、グラバーとシーボルトのすごいとこ10選
3 グラバーが日本初の蒸気機関車を長崎でGO!
グラバーが日本そして長崎に与えた影響は、具体的にどれくらいあったのでしょうか。
そもそもグラバーはスコットランド人の武器商人。鎖国が解かれたばかりの長崎を訪れたグラバーには欧米諸国と比べて日本は宝の山に映ったのかも知れません。
タイムマシン商法と言いますか、鎖国で歴史が止まったままの日本に長崎を通じて欧米諸国の設備機器や武器を卸して財を成していくグラバー。
ただし武器以外にも先ほど紹介したキリンビールや日本の近代化に貢献する設備機器を情熱的に日本へ案内していくのです。
その一つが商用鉄道の開通7年も前に長崎の大浦海岸通りに線路を敷いて蒸気機関車を走らせたそうです。※商用利用は新橋駅と横浜駅(現在の桜木町駅)。
当時長崎で煙を出して走る蒸気機関車を見た長崎の人たちは、「おっとろしかー鉄の塊の走りよるばい(たまがった/恐ろしい 鉄の塊が走っている)」と口を揃えて呟いたか定かではないですが、生まれて初めて見た蒸気機関車に間違いなく度肝を抜かされたことでしょう。大浦海岸通りには、その偉業を称える石碑が建立されています。
4 幕末の名だたる偉人と取引していた、超VIPなグラバー
グラバー園内にはグラバーが日本の近代化に尽力した歴史が紹介されています。業界を問わずに日本の近代化に必要と思われた事業、日本人から相談を受けた事業に対して、グラバーが尽力したことが解ります。
長崎にある高島炭坑の経営開始に伴い炭坑設備の調達と佐賀藩との共同経営。当時修繕が多かった船舶のために小菅修船場(ソロバン・ドック)を竣工するための設備の調達と技師の招聘や手配。日本での造幣局設立のため造幣機械の調達と造幣に関する技術や管理方法を学ばせるために英国へ日本人を送り出す手助けを行い大阪造幣局が造幣を開始。鹿児島紡績所(旧鹿児島紡績所技術館)の建設・機械・外国人技師の招聘などにグラバーは関わっています。
造幣技術や管理方法を学ばせるために英国へ日本人を送り出しているグラバーですが、実はそれ以外にも薩長の侍のイギリス留学の手助けをし、その留学生の中には初代総理大臣の伊藤博文も含まれ、グラバーと親交があったそうです。
また三菱財閥を創業した岩崎弥太郎と弟の岩崎弥之助とも親交があり、グラバー商会が倒産したあとグラバーは三菱財閥の顧問となっています。岩崎弥太郎は元々、土佐藩出身。亀山社中(海援隊)を結成した坂本龍馬へ支援も行っており、グラバーと親交があった岩崎弥太郎経由で坂本龍馬と交流が生まれ、亀山社中はグラバーとの商談を成立させ銃の輸入の代理店を開始します。
日本近代化の夜明けの舞台裏にグラバーの影あり。幕末の志士たちに思いもつかないヒントや新しいアイデアを与え、ビジネスに繋げていったグラバー。いつの時代も人脈はビジネスのキーポイント。グラバーは人心掌握術が非常に優れていたようです。
5 グラバー住宅は今でも長崎の定番のシンボル的な観光名所
何だかんだ言ってもグラバーが今の長崎にとって貢献度が高いのは「グラバー園」を残した事です。今回取材と撮影を兼ねて久しぶりにグラバー園を訪れてみましたが、長崎の港を一望できる見晴らしの良い場所にあります。
「旧グラバー住宅」は国の重要文化財でもあり、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、先ほど紹介した「高島炭坑」「小菅修船場(ソロバン・ドック)」「鹿児島紡績所(旧鹿児島紡績所技術館)」と共に登録されています。
ドラマやアニメで長崎がロケ地になると必ずと言ってよいほど登場する「ド定番」観光スポットですが、久しぶりに訪ねてみると修学旅行生だけでなく、歴史的な建物を絵に残している観光客など、思い思いの楽しみ方が出来る長崎の歴史を学べる観光地なのだと改めて思い直しました。
- グラバー園
- 長崎県長崎市南山手町8-1
- 大人610円、高校生300円、小・中学生180円
- 年中無休
- 8:00〜18:00(最終入園17:40)、夜間営業 8:00〜21:00(最終入園20:40)※夜間営業の詳細はサイトをご確認ください。
- http://www.glover-garden.jp/fee