被災地の今を知ってほしい。西日本豪雨復興応援アート展が開催
西日本を中心に全国的に広い範囲で発生した「平成30年7月豪雨」。広島県呉(くれ)市も被災地となり、土砂崩れや道路の寸断、浸水など甚大な被害を受けました。
造船や海軍と共に発展し、レンガ作りの建造物やレンガ通りなどレトロな雰囲気が残る町並みや映画やドラマにもなった『この世界の片隅に』のヒットで脚光を浴びている呉ですが、復旧にはまだまだ時間がかかります。
そんな呉の復興を願い、アートを通して応援する展覧会「西日本豪雨復興応援アート展」が2019年1月12日(土)~1月20日(日)に大和ミュージアムで開催されます。
展覧会の「はじまりの手」となったのは呉市にゆかりのあるイラストレーターのむかいあぐるさんとライトノベル作家の東きゆうさん。企画から会場選び、被災地出身者を含む漫画家やイラストレーターの仲間に声をかけ、この展覧会を実現させました。おふたりが愛する呉の街と展覧会についてお話をうかがいました。
西日本豪雨復興応援アート展 主催者プロフィール
むかいあぐる
広島県熊野町出身、神奈川県在住。毒キュートをテーマにしたキャラクター、イラスト、漫画で雑誌、広告等で活動中。主な経歴はピチレモン(学習研究社)、コカコーラ・ファンタ遊ぶ日キャンペーン、著書 絵本「悪魔の尻」如月出版発刊。公式サイトはこちらから。
東きゆう
ラノベ作家、漫画原作者。広島県呉市出身、関西在住。電子コミック等で漫画の原作を手掛ける。『私の人生なのに』(清智英 原案)が、2018年映画化。ツイッター@higashimaru
被災地を応援するために愛する地元でアート展を開催
──2018年7月に豪雨災害が発生し、まさか呉がこれほど大きな被害を受けるとは……。今まで大きな災害のなかった土地柄だっただけに心が痛みましたね。むかいさん、東さんは災害が発生した当日、何を感じましたか?
むかいあぐるさん(以下、むかい):当日は外出から帰っている最中でした。東京ではさほど、豪雨の凄さは感じなかったのですが、LINEで地元の友達、知り合いが被害状況や写真が沢山送られてきて驚き、これ以上ひどくならないようにと祈るばかりでした。その時に東さんともLINEでメッセージ交換をしていて、当日はショックで呆然としていました。
東きゆうさん(以下、東):私は神戸の自宅にいました。子供達も学校が休みになっていたと記憶しております。神戸でも雨が降り続け、近所で土砂災害が起こったり、友人宅に避難指示が出たり、大変不安な気持ちで過ごしました。広島は被害が大きかったので、地元の友人達からたくさんの状況がLINEで送られてきて、想像以上の惨事にただただ胸を痛めました。
──豪雨被害は日に日に被害が拡大していき、誰もが早い復旧を願わずにいられませんでした。被災地から離れて暮らす、神奈川在住のむかいさんと神戸在住の東さんはどのようにして「西日本豪雨復興応援アート展」を企画され、出品作家を集められたのですか。
むかい:私たちの地元である呉市は大変な被害を受けました。自分達の地元に限りませんが、報道で被害状況を見るたびに大きなショックを受けずにはいられませんでした。地元も含める被害に遭われた地域には、多くのボランティアさんが集まっておられ、その状況も日々報道されておりました。
東:自分達にも、被災地のために何かできることはないだろうか、何かしたい、その想いを胸に周囲の友人たち(今回の参加アーティスト達)、呉市役所の観光支援課の方と話し合い、被災者の応援、観光支援の一つとして今回のアート展を企画いたしました。
むかい:参加作家は、まずは主催者である私たちの友人や先輩方、これまで共に仕事をさせていただいてきた方々に声を掛けました。その後、賛同してくれたアーティストが、また知り合いや友人に新たに声を掛けるといった形で、総勢25名が集まりました。皆、被災地のために出来ることがあるならば嬉しいと、今回のチャリティー企画に快く参加してくれました。