自力脱出不可?仕掛けだらけの迷宮、金沢「忍者寺」の魅力

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2019/03/08

北陸新幹線が開業してから、ますます観光都市として人気の金沢。人気の観光地や観光施設はある程度決まっていて、兼六園や金沢21世紀美術館などがありますが、いま人気を集めている「妙立(みょうりゅう)寺」はご存じですか?

ここはお寺の正式な名称よりも、商標登録もされている通称の方が有名かもしれません。それが一般にいう「忍者寺」ですね。今回は観光客が年間23万人近く訪れるこの人気スポット「忍者寺」を紹介します。

「人呼んで忍者寺」

妙立寺(忍者寺)の外観(内部は撮影禁止) image by:石川県観光連盟

冒頭でも紹介したように、金沢にある人気の観光スポット「忍者寺」は通称です。「忍者寺」の付近にある電信柱に張り出された看板にも「人呼んで忍者寺」などと書かれていますから、あくまでも「人呼んで」なのですね。

工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームによると、商標「忍者寺」は出願が1984年12月17日とあります。少なくともいまから30年以上前から、通り名として「忍者寺」という呼称が存在していた様子が分かりますが、どうして妙立寺は「忍者寺」と呼ばれるのでしょうか?

その理由は、忍者が扱う奇術や忍びのイメージと、妙立寺のイメージに重なり合う部分が多いから。決して忍者が本拠地にしていたわけではなく、あくまでもトリッキーな仕掛けが随所に施された建築構造忍者を連想させるため、「忍者寺」と呼ばれているのです。

2階建てに見えるお寺に4階建て7層の空間が隠されている

妙立寺(忍者寺)の外観(内部は撮影禁止) image by:石川県観光連盟

「忍者寺」の特徴は、上述したようにその建築構造にあります。弥生時代の高床式の倉を思わせる縁の下のある寺院で、向拝のある方形屋根の頂点に、明かり取りのような突端が見えるだけの普通の外観です。「一見すると2階建て」などと言われていますし、公式のパンフレットにも、

<外観は二階建てだが>(妙立寺のパンフレットより引用)

とありますが、無知な筆者の目には2階建ての建物にすら見えません。しかし、驚きはその「平凡な」寺院の内部に、4階建て7層の空間が確保されていて、23の部屋と、29カ所の階段が設けられている点です。

しかも単に階数や部屋数が多く確保されているだけでなく、隠し階段落とし穴脱出のための横穴を設けた井戸などが随所に散りばめられていて、まだ戦国時代の息遣いが残る江戸時代初期のピリついた時代を、肌で感じさせてくれるます。

image by:photolibrary

金沢はお隣の富山と違って第2次世界大戦末期に空襲を受けていませんそのため江戸時代の建物や町割りが多く残っており、妙立寺も1643年移築建立された当時の姿を残しています言い換えれば、徳川将軍家に次ぐ大藩の加賀藩が、徳川家との戦争を想定して作った妙立寺にこそ、当時の各藩の緊張関係が分かりやすく読み取れるのです。


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