東京のシンボルがなぜ埼玉に?深谷にあるソックリ「東京駅」の歴史
2019年2月22日(金)に公開された映画『翔んで埼玉』が話題を呼んでいますが、その人気を受けて埼玉に首都が移転するとのウワサが…無いですね。
しかし、すでに埼玉には「東京」のシンボルの1つが建造されていました。それが、東京駅です!
こちらの建物、レンガ造りの立派な外壁、白い窓の縁取り、そして緑を基調とした屋根…。テレビなどで見かける東京駅そのもので、“東京駅です”と紹介されたら、信じてしまいそうなほどの外観です。
じつはココ、埼玉県深谷市にある「深谷駅」なのです。なぜ深谷駅が東京駅に似せられてるの?と思うかもしれませんが、その背景には、東京駅と深谷市の歴史があるのです。今回はその経緯と、深谷のレンガの歴史に迫ってみましょう。
東京駅が埼玉県深谷に?レンガ作りの拠点、その歴史をさかのぼる
いま、深谷と言えば“ネギ”が有名で、深谷市のゆるキャラである“ふっかちゃん”にもネギがあしらわれていますが、実は日本の近代化を支えた煉瓦(レンガ)作りの拠点となった場所です。
1887(明治20)年に設立された日本煉瓦製造株式会社は本社を東京に、そして製造工場を埼玉に置き、日本を代表するさまざまなレンガ建造物に用いられたレンガの製造を行っていました。
代表的な例としては、東京駅や迎賓館、旧司法省などを挙げることができます。このため、1996(平成8)年に深谷駅を改修する際、深谷がレンガ作りの拠点であることを踏まえ、今なお日本を代表する煉瓦建造物である東京駅を模した造りにしたそうです。
正にレンガ造りらしい見た目の深谷駅ですが、実はレンガ造りではなく、レンガに見える部分はレンガ風のタイルです。
これは建築基準法が関係しており、駅舎の構造などからレンガ造りにできなかったそう。
このため内部は鉄筋コンクリート造りとなっていますが、コンコース部分の天井をドーム型にするなど、内部構造にもこだわりが見られます。
そんなユニークな駅舎を持つ深谷駅には、歴史的なレンガ建造物が多数存在します。今回はこうした深谷の歴史を作った煉瓦について学ぶため、「煉瓦資料館(旧煉瓦製造施設)」に立ち寄ってみました。