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ハノイ名店の「フォー」がなぜ東京に?国も時空も超えた愛の物語

岡田すみえ
岡田すみえ
2019/05/25

創業45年余り、ベトナム・ハノイにあるフォーの名店フォー・ティン」。ホアンキエム湖の南側に位置するロードゥック通りにあるその店は、地元住民はもちろん、世界中からたくさんの人が訪れます。その数、実に1日2,000杯以上ものフォーが消費されるそう。

これだけの人気店なのだから、ベトナム国内をはじめ、世界中から出店のオファーがあっただろうに、同店は頑なに多店舗展開することはありませんでした。

ハノイのロードゥック通りで約45年の長きに渡り、訪れる人たちの舌と胃袋を満たしてきたのです。

ベトナム・ハノイのロードゥック通りにある「フォー・ティン」は、この看板が目印

そのフォー・ティンが、2019年3月9日、東京・池袋に2号店(海外初出店)をオープンしました。なぜ、このタイミングで2号店、しかも東京にオープンさせたのか。

これには国を超えた男たちの熱き思いが、創業者のティンさんの心を動かしたからにほかならないのです。今回はこのドラマと共に、同店の魅力に迫ります。

フォー・ティンとの出会い

今回の「フォー・ティン」2号店が池袋に出店されるにあたり、数々のドラマがありました。そのひとつであり、出店のきっかけとなったのは、「フォー・ティントーキョー」の代表、墨健二さんの並々ならぬフォー・ティン“愛”によるところが大きいのです。

ハノイ本店のフォー

「いまから5年ほど前に、ハノイ出張時に食べたフォー・ティンのフォーが桁違いに美味しくて。僕はパクチーが苦手なのですが、それすら気にならなかったんです。この出会いから、また食べたいという思いは募り、ハノイへ行くたびに、フォー・ティンへ行くことが楽しみのひとつになり、このフォーが日本で食べることができたらいいな、くらいに思っていたんです」と墨さん。

現地在住の同僚に勧められるがまま訪れたフォー・ティンで、墨さんはすっかり胃袋を掴まれてしまったようです。

それから時間だけが経った2017年のある日のこと、ふとフォー・ティンの味が脳裏を横切ったという墨さん。


ちょうど仲間たちとコンサルティングサービスや人材研修プログラムなどを提供する会社を起業し、新たな道を歩んでいました。

仕事は順調だったけれども、自分もまた何か新しいことにチャレンジしたいという欲求が沸々と湧いてきたといいます。

「もともと、冒険に出たり、未経験を経験することでの刺激が好きだったこともあり、そのときに浮かんできたキーワードが、“冒険、挑戦、クリエイション”。そこでフォー・ティンへの思いが沸々と湧き上がり、飲食業の経験はありませんでしたが、どうしてもフォー・ティンの味を日本で広めたくなったんです。だからハノイへ行って直接交渉してくるから、レシピを譲ってもらえた場合は開店させて欲しいと、仲間を説得し、紙芝居を持ってハノイへ向かいました」

「紙芝居」を使っての熱いプレゼンテーション

2018年1月、ベトナム語で思いの丈を書き込んだ紙芝居30枚を持って、ハノイへと向かった墨さんは、早速フォー・ティンを訪れました。

紙芝居にしたのは、とにかく「目に止まらないといけない」という理由からだったそうで、東京からきたことや、オーナーに会いたいと書かれた紙芝居を従業員に見せてアピールしました。しかし、初日はオーナーが不在で明日はいると聞き、その日はそのまま店を後にします。

2日目には知り合いの通訳を呼んで交渉してもらったところ…なんとまたも「明日ならハノイに戻る」といわれて、また出直すことに。

ただ、3日間の予定でハノイに来ている墨さんには、もう時間が少ししか残されていませんでした。

しかしせっかく通訳がいることだし、予行練習ではありませんが、他店ではどのような対応をされるのか気になった墨さん。そこでハノイで一番古いといわれているフォーの店へ赴き、通訳を使って説明するも門前払いにあってしまいます。

そこで墨さんは、現地のお店に対する交渉にあたってのハードルの高さを体感し、翌日も通訳を呼んで万全を期すことに。

翌日の朝、約束の時間になっても通訳がやってこない…そこへ通訳から渋滞にはまって遅れるとの連絡が入ります。

旅をこよなく愛する編集者。情報誌やエンタテインメント誌、ビジネス誌などで編集・ライターとして経験を積み、中国上海、カンボジア・プノンペンでの在住経験も有。2015年に帰国してからフリーライターとしてワークスタイルを確立。幅広いジャンルのテーマで執筆している。

ハノイ名店の「フォー」がなぜ東京に?国も時空も超えた愛の物語
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