美ブルーの湯に魅せられて。混浴文化に心まで浸る福島・高湯温泉「安達屋旅館」
400年の歴史を持つ奥州の名湯で、詫び寂びを味わう
“奥州三高湯”のひとつとして名高い「高湯温泉」は、福島の西、吾妻山のふもとに湧き出る温泉です。開湯400年、絶え間なく自然湧出し続ける白濁の湯を求めて全国から温泉好きが集まる名湯で、古くは湯治場として栄えてきました。
いわゆる温泉街があるわけではなく、大きく蛇行する山道に沿って湯宿が点在するのですが、この里山の風景がまたなんとも旅情を誘います。
そんな高湯温泉のなかでも、抜群の開放感をほこる自家源泉の大露天風呂を持つのが「安達屋旅館」です。
安心して混浴できる、女性に優しい「大気の湯」
同施設が誇る混浴温泉、「大気の湯」と呼ばれるメインの大露天風呂は、なんと全長30m!自然に囲まれた細長い川のような露天で、打たせ湯や寝湯、洞窟風呂などが点在します。
泉質は石膏明ばん硫化水素泉で、硫黄の香りが漂う酸性湯。玉虫色のようなブルーを放つ白濁の湯の美しさには思わずため息がでるほど。木々や野鳥を眺めながらの湯浴みはまさに極楽そのものです。
筆者が「大気の湯」なら混浴初心者の方や女性でも気に入るはず!と思うのには、いくつか理由があります。まず挙げられるのが、白濁の温泉であること。透明な温泉と違い白濁している温泉は湯につかってしまえば見えないので、混浴に慣れない方にとっては好都合なんです。
そして、こちらではバスタオル巻きでの入浴がOKなので、白濁+バスタオル巻きなら、身体が人に見られる心配はなんなくクリア。
男女とも別の脱衣所があり、女性専用の内湯と露天を抜けたその先が混浴大露天風呂に続くという構造なので、無理がなく、安心して入浴することができます。
そして何よりも同施設のグッドポイントは、全20室のこぢんまりした宿であることでしょう。細やかなおもてなしを提供する宿なので、やって来るお客さんはこの極上湯を目当てに、静かに過ごそうと思っているような方々。
前述のように大露天「大気の湯」は30mもあるので、それぞれにまわりに気を配りながら居心地のよい場所に落ち着いて、湯浴みを楽しんでいる様子です。
マナーある男性の方々は女性が入ってくる際、そっと視線を外したりしてくれるもので、そんな客質のよさも女性にとっては大切な要素となりますね。
ほかにもいくつかのお風呂があるので、満室のときでさえ混んでいる印象なく、ゆったりと湯浴みを楽しむことができるのも嬉しいポイントです。
男女ともの内湯と露天、そして「薬師の湯」と呼ばれる貸切風呂があり、館内の湯めぐりも楽しめて最高。ちなみに「大気の湯」は午後6時から午後9時までは女性専用となるので、バスタオルなしで楽しみたい方はこの時間帯にどうぞ。