京都府立図書館〜そこはレトロな明治モダン建築の世界〜
新館に受け継がれる武田五一氏のDNA
地上4階、地下2階の新館になってレトロ建築とはガラリと様変わりしましたが、武田氏のDNAでは?と感じる部分もありました。上の写真は保存されたファサードの一部ですが、この外壁の溝、目地に注目!
よ〜く見てください。上の写真の左半分が旧館のファサード、右半分が新館の壁面です。
この壁の溝のように落ち着いた、比較的溝の浅い水平目地がフランス風だそうで、「理知的なイタリア・ルネサンス様式でもバロック様式ともずらした軽やかさ、典雅さがあり、セセッション、グラスゴー派など留学当時の建築界の流行を吸収し、武田氏らしく折衷したデザイン」と堀さん。新館の外壁もその意匠を踏襲していることがよく分かりますね。
アーチ型の窓枠は旧館の形がそのまま活かされています。内装は新たに生まれ変わっていますが、窓枠のアーチがクラシカルな印象を醸しています。
旧館の大閲覧室で使用されていた、アール・ヌーヴォー調のシャンデリアをイメージしたかのようなペンダントライトを採用。
この曲線も武田氏の作風を受け継いだのかも?と思わせる、閲覧スペースの中央に配された地下1階の閲覧室へと続く螺旋階段。
本を読む女の子の像が佇む吹き抜けのガーデンも半円形。美しい曲線がそこかしこに見られます。
府立図書館旧館の外壁中央上部の銘「京都図書館」の上部には、銀杏の葉の文様があります。銀杏の葉には紙の紙魚除け、虫除け効果と、防火の効果があるとされることから、武田五一氏が起用したのではないかと言われています。
図書館の前には今も大きな銀杏の木があり、京都市立芸術大学とのコラボによりデザインされたロゴマークにも、銀杏の葉と本をかたどったモチーフが採用されています。
書物のみならず、守られるべき建物、存在であり、神聖な場所という想いが込められているのかもしれませんね。