古代から佇む最強パワー。全国の「石」にまつわる神秘的な寺院7選
神倉神社/和歌山県新宮市
世界文化遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する神社で、熊野権現(くまのごんげん)が初めて地上に降臨した場所と伝えられています。
神倉神社は神倉山の山頂にある巨石「ゴトビキ岩」をご神体としていますが、そこへ行くためには麓から続く538段の石段を登らなければなりません。
この石段、かなりの急傾斜なのに加えて自然石で組んであります。
しかし登り切るとゴトビキ岩だけではなく、社殿のすぐ下の広場から新宮市街と熊野灘を一望できます。もっとも神倉神社の石段は上りより下りのほうがコワいという声もありますので、お帰りの際はご注意を。
笠置寺/京都府笠置町
京都府と奈良県の境にある笠置山の頂上にあるお寺です。古くから信仰の地であり、弥生時代にはすでに巨石の「磐座(いわくら)」を崇拝するための聖地になっていました。
その後、寺院が建立されると磨崖仏がつくられるようになり、高さ15mの巨石に「弥勒磨崖仏」がつくられ、本尊とされました。
現在、仏像は残っていませんが岩は残っており、往時の姿を偲ぶことができます。高さ12mの岩壁に刻まれた「伝虚空蔵磨崖仏」は仏像が残っていますので、こちらもお見落としなきよう。
笠置寺は、南北朝の戦乱の時に後醍醐天皇の側についたため、鎌倉幕府の武士たちに攻められました。同寺に残る「ゆるぎ石」は、このときの戦いで敵方に落とした石の名残といわれています。
境内には遊歩道が整備されており、ここで紹介した巨岩のほかにも太銭石、平等石、貝吹き岩などの石を見ることができます。
磐船神社/大阪府交野市
高さ・幅12mの巨石「天の磐船(あめのいわふね)」をご神体にしている神社です。
名前通り船のような形をしており、ご祭神の饒速日命(にぎはやひのみこと)が高天原から地上に降りてくるときに乗っていたとのいい伝えがあります。
加藤清正が大阪城の石垣の材料にしようとしたが、巨大すぎて断念したという話も残っています。
境内にはほかにも天照大御神(あまてらすおおみかみ)が隠れたという天の岩戸、行者が修行の場とした岩窟めぐりなど、岩にまつわる場所がいくつもあり、神秘的な光景が広がる場所です。
生石神社/兵庫県高砂市
本殿の裏にある巨石「石の宝殿」をご神体としています。石の宝殿は一辺6mほどの直方体で、重さは推定465トン。側面にベルト状のくぼみ、背面に屋根型の突起がついた不思議な形をしています。
この巨石がいつなぜつくられたのか、誰がつくったのか、実は分かっていないのだとか。
生石神社の周辺は凝灰岩「竜山石」の産地で、古墳の石棺や石槨(石棺を入れる石造りの部屋)に使われていました。このことから石棺か石槨としてつくられたのではないかという説もありますが、それにしては重すぎるという声もあります。
ともかく、8世紀にできた「播磨国風土記」には「大石」として登場することから、古くからあったことは確かです。
全国にはさまざまな「巨石」のある神社が存在しています。ミステリアスな岩や石が持つ不思議なパワーをいただきに、訪れてみてはいかがでしょうか。
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