25年間評価され続ける、福井県民が愛する鉄板土産の「せんべい」

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2019/08/27

賞の権威に対するさまざまな意見がありますが、モンドセレクションで最高金賞を受賞した食べ物と聞くと、なんだか気になる人も多いのではないでしょうか。

まして、25年連続で賞を受けるせんべいがあるとすれば、ちょっと食べてみようかなとなりますよね。

そこで今回は地福井県の有名なお菓子、地元紙にも最近ニュースに取り上げられた「五月ヶ瀬煎餅」(正しくは瀬の頁が刀に貝)を紹介します。

1975年に発売開始の福井の鉄板お土産とは

image by:坂本正敬

福井県の食べ物やお菓子といえば、何を思い浮かべますか?越前ガニから始まって、へしこ、サバずしなどの郷土料理、羽二重もち、水ようかんなどの銘菓がありますが、ほかにも地元住民に定番のお土産として知られる五月ヶ瀬煎餅があります。

この五月ヶ瀬煎餅は、福井県の北部、石川県と県境を共にする坂井市に本社と工場・本店を持つ、1973(昭和48年)年創業の「御菓子処 五月ヶ瀬」が、創業から2年後の1975年に発売を開始したせんべいです。

ちなみに坂井市とは、福井きっての観光名所である東尋坊があり、(現存する)日本最古の天守閣を持つ丸岡城などもあります。

直営店は坂井市の本社工場と総本店にありますが、今回の撮影用に筆者が購入した場所は、北陸自動車道の徳光PA。福井から見るとお隣の石川県に入って、かなり進んだ場所にあります。

福井を離れてもメジャーな場所であれば置いてあるほどの販売網と知名度を持ったお菓子だと想像してください。

25年間連続でモンドセレクションを受賞

image by:坂本正敬

同商品はせんべいと命名されているものの、味わいはクッキーに近いです。パッケージも和風のデザインが施されているため、もう少し日本的な味を想像する人も多いかもしれませんね。


せんべいといえば、うるち米、またはもち米の粉を使って作るケースが多いですが、五月ヶ瀬煎餅は小麦粉に砂糖、マーガリン、卵を加えているため、クッキーのような味わいがするのです。

プラスして和風のせんべいにありがちな黒豆ではなく、特選ピーナッツが使用されています。それらの素材を混ぜ込んだ種を焼き型に入れ、石釜で焼くという製法が守られているのです。

この洋菓子風のせんべいが、最新のモンドセレクションでも最高金賞を受賞し、結果として1995年(平成7年)から25年間連続で受賞する形になったのです。

<お子様からご年輩の方まできっとお楽しみいただける>(五月ヶ瀬煎餅のちらしより引用)

という意見もありますが、味わい・見た目に、いい意味で派手さはありません。素朴な甘みで、かみ応えもあるため、子どもたちはもっとわかりやすく柔らかいお菓子を、若者は見た目も味も華やかな洋菓子を好むかもしれません。

実際に北陸に暮らす筆者の感覚からすれば、年配の方が福井帰りに決まって買って帰ってくるお土産といった印象です。

しかし、緑茶にもコーヒーにもあう五月ヶ瀬煎餅は飽きがこなくかむほどに素材の風味が口に広がる素朴な美味しさがあります。

30代以降などある程度の年齢を重ねた人には、好まれる可能性が高いのではと思います。先日も50歳に近い富山の女性に手渡したら、「やっぱり、美味しい」と想像以上に喜んでくれました。

8~32枚入りと商品の大きさもバリエーション豊かに用意されています。お土産としても自宅用としても重宝しますね。

25年連続で受賞した企業に贈られる25周年記念トロフィーとは

image by:坂本正敬

そもそもモンドセレクションとは、1961年にベルギーでスタートした世界的な飲食料品の品評会で、2019年度ワールドセレクションには90カ国、1,043の企業から2,948点の応募商品が集まっています。

応募費用として1商品1,200ユーロを支払えば誰でも参加できる品評会です。応募企業、応募商品の半数以上が日本を含むアジアから集まっている現状を踏まえると、「本当に権威のある賞なの?」と、疑義を差し挟む人も確かに居るかもしれません。

しかし、仮に日本企業からの出品が多いとしても、25年連続して受賞してきた歴史は、手放しに褒められてしかるべきではないでしょうか。

2019年に関していえば、25年連続で受賞した企業に贈られる『25 YearsTrophy』の受賞は、世界でも五月ヶ瀬を含めて5社しかないのです。

正直、日本人は海外でのお墨付きに弱い傾向があります。その意味で五月ヶ瀬煎餅を誰かに渡す際には、「これ、25年連続でモンドセレクションを受賞しているんですよ」と、興味を引く一言を添えられる点も便利です。

福井でお土産を何にしようかなと思ったら、選択肢のひとつとして五月ヶ瀬煎餅も考慮してみてくださいね。

  • image by:坂本正敬
  • ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。

 

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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