【CMで話題】美山かやぶきの里、女性茅葺き職人に直撃してしてみた
【インタビュー】CMの裏話、美山と茅葺職人のこれから
実は迷ったCMのオファー、その理由とは?
-新人茅葺き職人としてCMに出演されていましたね、ご本人に会えて嬉しい♥周りの反響は?
岡 はい、もちろんすごく反響ありました。今、入社して3年目なんですが、CMのオファーが来たときはまだ入社して1ヶ月・・・。撮影したのが入社してから5ヶ月半くらいのころでしょうか。
そもそも、わたしは一人前の茅葺職人になりたいから入社したわけではなく・・・、皆さんの思う職人像と違うので、オファーを受けるかどうかすごく迷いました。
-違うっていうのは、具体的にどういうことですか?
岡 わたしは現場の職人と施工管理をつなぐ人になりたい!と思って入社したんです。そもそも実家が設計事務所で父親が一級建築士だったことから、父のような建築士になりたくて、大学では建築を学んでいました。設計をする人の目線から職人さんのサポートができればと思っています。
中野 女性の茅葺職人をCMに起用したいということにも驚きましたが、いわいるイマドキの女子大生の岡が茅葺職人の勉強がしたい!と入社してきたことにはもっと驚きました。娘にも、「パパ、スゴイ」って褒められました。(笑)
夢を持った若者たち、目指すは田舎!の時代になった
-やっぱり、職人といえば一般的に男性の仕事というイメージですもんね。
中野 僕が脱サラした23歳の時、自分探しの旅をしました。イギリスでたまたま出会った茅葺屋根の村では、女性の職人もいましたから違和感はなく・・・男性も女性もないなーって思ったんです。
その時、ヨーロッパに茅葺屋根があったこと、茅葺職人は若者の憧れの職業だったことを知り、とても驚いたねー。心打たれました。
さらに僕の地元・美山の茅葺屋根の風景の写真を見せると、「君はこんなに素晴らしい村に住んでいるのか!」と大絶賛されたんですよね。これがきかっけで、僕が家族の反対を押し切り茅葺職人になるわけなんですが・・・。(笑)
※家族の反対などのエピソードはHPに掲載されている寄稿をご参照ください
-外へ出て初めて自分の故郷の価値に気づいたわけですね。そして本当にやるべき仕事に出会ったと。
中野 あれから約25年・・・。普通なら東京に行くような夢を持った若者が、田舎へ好んで行くようになった、風が変わってきたねー。
今、弊社はスタッフ10名で、平均年齢31、32歳くらいなんですが、岡をはじめ多くの若者が弊社の門をたたいてくれたから、絶対、美山は変わるな!!と確信しました。
僕がやりたいと思ったことに世の中がようやく追いついてきたと実感しています。こういったCMの起用にも現れているのかと。
-全国的に茅葺職人ってどれくらいいるんですか?
中野 だいたい150人くらい、とくに近畿にかたまってるかな。
-岡さん、親方とはどんなご縁で?
岡 大学4年のときに同じゼミの友達が、「茅葺屋根の茅を刈り取るワークショップが美山であるから一緒に行こう!」って誘ってくれて。たまたま親方(社長)とお話する機会がありました。
岡 茅葺職人の話を聞いてビビッときたのと、わたしのバイブルでもあるスタジオジブリの映画作品「おもひでぽろぽろ」の世界観とも重なって、一気に心が引き込まれました。その後、実際に現場でアルバイトをさせてもらって。そのときに、茅葺が金色に輝く姿に感動し、魅了されて。こんなに素晴らしいものを作れる会社で働いてみたいと思ったんです。
時代にあった職人の育て方
-岡さんにとってCMは入社1ヶ月の出来事だったけど、親方にとっては約25年頑張ってきた成果でもありますよね。新人に出演のチャンスをあげる、新人ファーストないい会社~。社長であり親方である中野さんが若者たちをどのように育成しているのか気になります。
中野 職人と言えば口伝&徒弟制度、僕の時代は見て覚えろ!が当たり前でした。でも、今の子たちに「見てやってみろ」では絶対に無理!!
手取り足取り、時には模型を使って座学をしたりと、学校のようにやらないと育たないんですよね。夏休みをとって海外研修にも連れていったりと。反面、貪欲さがなくなってしまわないか・・・ということも心配してますけどね。
-茅葺職人ってどれくらいで一人前になれますか?
だいたい5.6年ってとこかな。それくらいでみんな独立して、ここを巣立ちます。弟子を育てるって大変だけど、必ず次の世代で良いことがかえってくると信じてるから。
美山のこれから、僕の夢は世界遺産登録!!
-親方が今後目指していることってあるんですか?
中野 美山を世界遺産にすることです(笑)。元気いっぱいの30、40代が社長になって美山を引っ張っていってほしいね~。
-すごい夢!具体的にどれぐらいの人手があれば世界遺産になれそうですか?(笑)
中野 そのためにはあと100人くらいの人手がいるかも。100人来たらその家族もついてきてくれるとすると、美山はものすごく活気がでるやろね~。
一歩先の京都、そして美山のことを真剣に考えると景観保全に加えて、環境保全、美味しい農産物を作ったり、快適な滞在施設を運営したり・・・などトータルでコーディネートできるような組織にしていく必要があります。
中野 岡は、田舎の暮らし方についてとても興味をもってくれているので、そういった面でもアドバイスをできるような存在になれると思っています。トータルでコーディネートというとかっこよく聞こえるかもしれませんが、1人でいろんなことをやらないと生きていけてないんですよね~、なにせ限界集落なもんで(苦笑)。
岡 わたしが美山に住んでいるもうひとつの理由が、田舎暮らしへの強い憧れがあったんです。農家のお嫁さんになることも夢の一つでしたから(照)。
親方の原動力とは?
インタビューの最後、今までもこれからもチャレンジし続ける親方に原動力の源は何でしょう?と訪ねたところ、「先人から預かった遺産を引き継ぐ、責任感しかない」と力強い言葉をいただきました。
親方や岡さんの希望に満ちた明るい表情を見て、ライターとして目の前のお仕事「執筆を通じた町おこし」をもっともっと頑張ろうと思いました~。
世界遺産に登録されるその日まで応援しておりますよ~。そして、美山茅葺株式会社でお仕事したい方は親方までご連絡お願いいたします~!!
- 美山茅葺株式会社
- 公式サイト
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さかもとみえ
あ~本当に素敵な師弟関係でうらやましい~。わたしも師匠がほしいと思った日でした。そして、茅葺のゲストハウスがOPENしたら是非とも美山に泊まりに行ってみたいと思います!茅葺屋根の家で寝るとどんな感じで気持ちいいのか試してみたい~。今から待ち遠しくてたまりません~!!